Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
現在市販されている医薬品の30%以上は、G蛋白質共役型受容体 (GPCR) に作用します。我々は、核磁気共鳴法を用いて、GPCRが活性の異なる複数の構造の動的平衡状態にあり、交換速度や活性型の割合がシグナル伝達活性を規定することを明らかにしてきました。この研究では、動的構造平衡の情報に基づいて、原子レベルから細胞レベルの様々な実験データを統合して、GPCRシグナルの経時変化を定量的に記述する数理モデルを構築すること、および構築したモデルでGPCRシグナルを再現することで、GPCRシグナルの制御メカニズムを解明することを目指します。
最初に、前年度までにNMR法を用いて構築した、b2アドレナリン受容体の不活性型・部分活性型・活性型の構造平衡のモデルに対して、先行論文で報告されているGタンパク質の活性化および不活性化の数理モデル、GRKによるリン酸化とアレスチンの内在化の数理モデル、cAMPの生成およびPKAとPDEによるフィードバック阻害の数理モデルを組み合わせて、GPCRシグナルの数理モデルを構築した。次に、前年度までに開発した交換モンテカルロ法のプログラムを使って、b2AR発現細胞に作動薬を添加した時のcAMP濃度の経時変化をシグナルの様々な箇所に阻害がかかった条件で観測した文献値が再現できるように、構築した数理モデルに含まれるパラメータを網羅的に探索して、ベイズ推定により最適値と誤差を算出することを試みた。その結果、構築した数理モデルに含まれるパラメータの数が49個と多いため、ベイズ推定を行うのに十分な量の計算を行うことが困難であった。そこで、交換モンテカルロ法のプログラムの改良を試みたところ、並列計算の手法を導入することにより、計算速度を5倍以上上昇させることに成功した。高速化したプログラムを使って数理モデルに含まれるパラメータを網羅的に探索した結果、各パラメータの最適値および誤差を得ることに成功した。得られたパラメータを使って、各種阻害がかかった条件におけるcAMP濃度の経時変化を計算した結果、計算値が実験値と良く対応することが示された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (2 results)
Nature Chemical Biology
Volume: 16 Issue: 4 Pages: 430-439
10.1038/s41589-019-0457-5
Science Advances
Volume: 6 Issue: 12
10.1126/sciadv.aay8544
Biophysical Reviews
Volume: 11 Issue: 3 Pages: 409-418
10.1007/s12551-019-00539-w
月刊細胞
Volume: 51 Pages: 596-599
Seibutsu Butsuri
Volume: 59 Issue: 4 Pages: 181-187
10.2142/biophys.59.181
130007683541
http://ishimada.f.u-tokyo.ac.jp/public_html/index_j.html
http://ishimada.f.u-tokyo.ac.jp/public_html/