Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
脳内での予測、シミュレーションが刺激と反応の間に介在する場合の神経機構の解明は今まさに黎明期にある。このような複雑な意思決定の過程を解明するためには理論的枠組みが必要であるが、その1つは銅谷らの提唱する「モデルフリー」、「モデルベース」という枠組みである(Doya, 1999, Neural Netw; Daw et al., 2005, Nat Neurosci)。ごく簡単に言うと、モデルベースの意思決定とは、脳内シミュレーションによる予測を伴う意思決定である。本研究では中枢セロトニン神経系とモデルベース的意思決定の関係を解明する。
これまでの検討で、背側縫線核セロトニン神経の活動を抑制した際に従来のモデルベース的意思決定測定法ではモデルベース的意思決定の抑制傾向が見られたが、運動量の増加、衝動的行動の増加などの変化も見られたため、解釈が困難であった。この問題に取り組むために、応募者は二種類の報酬を用いた新たな行動課題、2-選択モデルベース的意思決定測定課題(2-choice)を考案した。本研究計画ではこの2-choice課題を用いて①中枢セロトニン神経活動によるモデルベース的意思決定制御について確証を得ること、②セロトニン神経支配を受けるどの脳部位がモデルベース的意思決定に関与しているかを特定すること、を目的としていた。目的①については運動量の増加、衝動的行動の増加などの可能性を排除して評価することに成功し、背側縫線核セロトニン神経の活動がモデルベース的意思決定に必要であることを示した。しかし、目的①の成果をまとめた論文を投稿した際に、査読者から実験のコントロールをより厳密に取る必要があるとの指摘を受けた。特に遺伝子改変動物を用いているため、生まれながらにして特殊なタンパク質を発現していることが動物の成長過程に影響を与え、それによって今回の差が見られている可能性を排除するように求められた。この重要な指摘に応えるためには、これまでに行った実験と同等量の実験を少々条件変更を行った上で実施する必要がある。そのため、目的②を保留として、目的①の成果をより確実にすることを進めた。その結果、要求された実験を全て実施し、ほぼ想定通りの結果を得て、最終的には論文が受理されるに至った。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Current Biology
Volume: 31 Issue: 11 Pages: 1-9
10.1016/j.cub.2021.03.048
Behavioural Brain Research
Volume: 379 Pages: 112394-112394
10.1016/j.bbr.2019.112394
Neuropharmacology
Volume: 167 Pages: 107703-107703
10.1016/j.neuropharm.2019.107703
Journal of Pharmacological Sciences
Volume: 141 Issue: 3 Pages: 127-130
10.1016/j.jphs.2019.09.013
Science
Volume: 365 Issue: 6459 Pages: 1308-1313
10.1126/science.aax9238
120006777541
Brain Research
Volume: 1719 Pages: 243-252
10.1016/j.brainres.2019.06.009
120006885155