Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、脳研究の成果から明らかになってきた学習メカニズムや、とくに樹状突起を介するボトムアップとトップダウン信号の相互作用を取り入れ、これまでにない人工知能のための回路アーキテクチャと、それに適した学習理論を創出する。既存のモデルには取り入れられていない脳の神経回路の性質を活用することにより、多様な目的をもつ人工知能の開発に対して新しい理論的基盤を与える。また脳の計算理論の面からは、神経回路構造の生物学的特徴がもつ計算論的意味を明らかにしようとする試みであり、研究の成果は脳の回路機能を電子デバイスで実現するための、ニューロモルフィック技術に結びつく可能性がある。
本研究プロジェクトでは、神経細胞の樹状突起の働きを神経回路計算に如何に統合するかという問題意識を掲げて研究を行なった。樹状突起の計算論的機能を解明することで、新しい人工知能やニューロモルフィック技術の開拓に繋がる可能性がある。初年度は、新しい教師なし学習原理を提案し、樹状突起と細胞体間の応答の整合性チェックに基づく、時系列入力の階層構造を学習するための細胞モデルを実装した(Asabuki and Fukai, Nat Comm, 2020)。この2コンパートメントモデルは、入力中に繰り返し出現する時空間パターンを教師なしで抽出する。さらに同じニューロンモデルで、聴覚信号源分離(カクテルパーティ効果)の問題も解けることを示すことができた。最終年度は、2コンパートメントモデルを基礎に、1)多コンパートメント・モデルによる学習、2)リカレント結合による階層時系列の文脈依存の学習、3)刺激の出現確率を学習する相互結合神経回路モデルへの拡張を試みた。テーマ1)と2)はほぼ完了し、論文を準備中または投稿中(Asabuki and Fukai, 2021, bioRxiv)である。特に2)では、リカレント結合による樹状突起から細胞体への信号伝達の乗算的ゲーティングに依り、学習能力を著しく向上させた。またこの回路モデルを6500個以上の細胞を含む大規模神経活動記録データに適用し、細胞集合体の検出に成功した。テーマ3)は、ベイズ推定における事前分布を自発発火で表現する試みである。刺激の出現確率を学習させることに成功したが、実験で明らかにされている確率情報の表現と、モデルの情報表現が異なるため、現在、理論の問題点を探っている。以上の研究成果により、まだ十分に解明されていない、脳の学習の生物学的仕組みが存在し、それを人工知能等に活用する可能性があることが、以前より明確になったと考える。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (7 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 7 results, Open Access: 7 results) Presentation (11 results) (of which Int'l Joint Research: 8 results, Invited: 7 results) Remarks (3 results)
Cerebral Cortex
Volume: in press
Volume: 31 Issue: 4 Pages: 2038-2057
10.1093/cercor/bhaa343
Cell Reports
Volume: 32 Issue: 1 Pages: 107864-107864
10.1016/j.celrep.2020.107864
120006867158
Nature Communications
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 1-13
10.1038/s41467-020-15367-w
Physical Review Research
Volume: 2 Issue: 1
10.1103/physrevresearch.2.013253
Physical Review Letters
Volume: 123 Issue: 7
10.1103/physrevlett.123.078101
Frontiers in Neuroinformatics
Volume: 13 Pages: 1-19
10.3389/fninf.2019.00039
https://groups.oist.jp/ncbc
https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2019/10/7/34367