Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
「サーサーン朝期」と云う時代設定は、日本の学界では軽視されてきた。日本の大学の研究区分では、古代オリエントは西洋古代史に、イスラーム研究は東洋史に編入されており、両者を繋ぐサーサーン朝時代研究には居場所がない。しかし、この時代こそ、古代オリエント期とイスラーム期を結ぶ結節点である。研究者は、「サーサーン朝ペルシア帝国研究」を、「西アジアの古代末期」として独立した時代区分に設定し、古代オリエント期の何を継承し、イスラーム期に何を繋げていったかを問う分野として確立させるべきだと考えている。このような研究領域単位の話しで、本研究には未開拓の領域を切り拓き、今後の研究の沃野を創造する可能性がある。
コロナ禍により現地調査は遅延していたが、2022年度にアゼルバイジャン、ウズベキスタン、タジキスタンでのゾロアスター教拝火神殿調査を集中的に実施した。①アゼルバイジャンでは、バクー郊外の近代ゾロアスター教拝火神殿の調査をきっかけに、コーカサス山脈奥地にある拝火神殿遺跡やダフマ遺跡の存在を確認した。これらは、イランからコーカサス山脈を越えて現在のロシアやウクライナに至るまでのゾロアスター教ネットワークを想定させる資料だったが、ロシア語やアーゼリー語の準備が無かったので、実見するには至らなかった。アゼルバイジャン北部やロシア連邦ダゲスタン共和国の調査は、今後の課題である。②ウズベキスタン・タジキスタンでは、ブハーラー郊外のヴァラフシャ遺跡、サマルカンド郊外のアフラースィヤーブ遺跡、ジャルテパ遺跡、カーフィル・カラ遺跡を訪問した。また、サマルカンド考古学研究所のムーミン・ハーン所長、国際中央アジア研究所のドミトリー・ヴォヤキン所長と面談した。更に、ドゥシャンベのタジキスタン古代博物館を訪問し、コロナ禍以降の研究動向を把握した。残念ながら、当初計画していたパミール高原調査は、気候がこれに適さず、現地研究者によって止められたので果たさなかった。これらによって、ゾロアスター教拝火神殿の立地条件に関する新知見を得ると共に、現地の研究者による研究の進捗状況や、今後の研究計画を理解した。中央アジアで大規模に計画されているゾロアスター教拝火神殿遺跡の悉皆調査に、日本人研究者がどこまで関与できるかが今後の課題である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (5 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 4 results) Book (1 results)
静岡文化芸術大学研究紀要
Volume: 第22号 Pages: 69-76
奈良県立大学ユーロナラジア
Volume: 16 Pages: 24-33
Volume: 15 Pages: 24-33
Volume: 14 Pages: 42-51
日中平和友好条約締結40周年記念シルクロード国際シンポジウム&トークセッション(東京藝術大学ユーラシア文化交流センター)
Volume: 1