Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
再生可能エネルギーの一つである「水素」は、エネルギー変換や物質合成における鍵物質として、非常に重要な役割を果たしている。本研究では、ヒドリド種を含む金属酸化物が新規エネルギー輸送材料として近年発展している点に着目し、金属酸化物クラスター錯体と金属ヒドリド錯体を融合し、錯体化学的な視点による分子・原子レベルでの新規材料の理解に向けて研究を実施する。
電子不足な希土類金属中心に対し、アゴスティック相互作用を有するヒドリド部位が分子内にある希土類金属錯体を合成し、その触媒反応への応用を検討した。特にイオン半径が大きい3価のカチオン性ランタン中心に対し、ヒドリドを含むアニオンであるヒドリドボレートアニオンの反応性に関して研究を進め、二酸化炭素の還元反応に活性を示すことを見出した。すなわち、ランタン錯体とヒドリドボレートアニオンを生成するためのトリアリールホウ素、ならびにヒドリド源としてフェニルシランを加えて二酸化炭素雰囲気下とすると、二酸化炭素のヒドロシリル化を経た還元によりメチルシリルエーテルが生成することが分かった。さらに、反応系に対してアニリン誘導体を加えた場合には、アニリンが求核剤として作用することで窒素原子のメチル化反応が進行し、N-メチルアニリン誘導体を与えることを見出した。いずれの場合においてもメチル基となる炭素源は二酸化炭素であり、二酸化炭素のヒドロシリル化を経た有機化合物への固定化を促進する触媒系を開発することに成功した。また、ヒドリド部位の反応性を解明すべく、反応機構に関する計算化学を行った結果、カチオン性であるランタン中心とアニオンであるヒドリドボレートの間に働く弱い静電相互作用により、二酸化炭素のみがランタンに配位することが可能な配位場が生成し、その結果、ルイス塩基であるアミンの存在下においても二酸化炭素のヒドロシリル化が優先して進行することを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results) Remarks (2 results)
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 59 Issue: 4 Pages: 1552-1556
10.1002/anie.201913835
http://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/organomet/