Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
錯体水素化物やハロゲン化物は,分子状のアンモニア(NH3)を吸蔵し「アンミン錯体」と呼ばれる安定相を形成する。これらアンミン錯体は,吸蔵体の種類やNH3との組成により,異なる物性を示すことから,エネルギー貯蔵物質やイオン伝導体等としての利用が期待されている。アンミン錯体の機能性には,水素が深く関わっていることが示唆されているが,詳細なメカニズムについては未だ明らかになっていない。本研究では,アンミン錯体の熱力学特性評価や構造解析を行うと共に,アンミン錯体中の水素の状態をIRやNMRといった分光法を用いて詳細に分析し,水素の状態と物性との相関性を議論する。
錯体水素化物やハロゲン化物は,分子状のアンモニア(NH3)を吸蔵し「アンミン錯体」と呼ばれる安定相を形成する。これらアンミン錯体の機能性には,水素が深くかかわっていると予想され,特に,ボロハイドライドでは,(BH4)-錯イオン中の水素(Hδ-)とNH3中の水素(Hδ+)という異なる水素が共存するため,水素が物性や機能性に及ぼす影響は大きいと推測される。本研究の目的は,NH3吸蔵特性の詳細及びアンミン錯体中の水素の化学状態を実験的に分析し,水素の相互作用と機能性発現メカニズムに関する知見を得ることである。LiBH4について,異なる温度で圧力-組成-等温線(PCI)測定を行い,熱力学特性の詳細な評価を行った。その結果,液相とされる2配位付近に中間層が存在することが分かった。NH3雰囲気in-situ 液体核磁気共鳴(NMR)の結果から,この中間層は固体であることが示唆された。また,アンミン錯体形成のΔH及びΔSを評価したところ,Hδ-を有さないLiClのアンミン錯体と比べ,エントロピー変化が明らかに小さいことが分かった。これは,アンミン錯体中でNH3の自由度が制限されていることを示唆しており,(BH4)-中のHδ-とNH3中のHδ+の間に相互作用が存在していることを示している。徳島大学及び京都大学との共同研究として,NH3雰囲気化におけるin-situ固体NMR分光測定の準備を進めた。NMRチューブ内での反応速度等を考慮して,試料容器仕様を決定し,京都大学での実験で使用する治具等の作製を進めた。東京工業大学との共同研究として,新規アンミン錯体合成の準備を進めた。試料としては,先行研究にてNH3との反応が確認されていないLiNH2を選定した。高圧容器内でのNH3源として,加圧によりNH3を生成する物質の利用を検討した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Invited: 2 results)