Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
天の川銀河にはこれまでに多種多様な星間分子が発見されており、その中には水や大型有機分子などの生命にとって不可欠な分子種も含まれている。誕生直後、バリオン物質としてはほぼ水素とヘリウムだけで構成されていた宇宙が、現在のような化学的に豊かな状態に至る過程の理解は、現代天文学における最重要課題の一つである。本研究では、過去の宇宙の始原的な環境を残す銀河系外縁部における星間物質の観測的研究によりこの課題に挑戦する。
銀河系最外縁部の星形成領域の原始星に付随する星間物質の化学的性質を観測的に明らかにすることを目的としている。我々の住む銀河系の最外縁部は、その低い金属量環境のため、銀河系形成初期の原始的な環境を残すと考えられており、過去の低金属量宇宙における星形成過程・物質進化過程を探る上で重要な研究対象である。本年度の研究では、アルマ望遠鏡による銀河系最外縁部の星形成領域に対する高感度・高空間分解能サブミリ波観測データの詳細な解析を行った。ここで発見された天体に付随する分子ガスの物理・化学状態の診断に基づき、この天体が星形成の途上で出現するホットコアと呼ばれる暖かい分子ガスに包まれた段階の原始星であることを明らかにした。銀河系最外縁部においてこのような極めて豊かな化学組成を持つ原始星の発見を報告したのは本研究が初めてであり、銀河系最外縁部の原始的な環境下においても星・惑星材料物質の化学的複雑性が存在することが明らかになった。本研究成果は、新潟大学・国立天文台・台湾中央研究院天文及天文物理研究所より共同でプレスリリースを行い、アウトリーチ活動を通した成果の社会還元も行った。また、本研究の結果をより多くの外縁部星形成領域に拡張するため、研究協力者らと連携してアルマ望遠鏡及びジェミナイ南望遠鏡による新たな電波・赤外線観測を提案し、これらが採択された。ここで得られるデータは今後のより発展的な研究へとつながることが期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019 Other
All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 5 results) Presentation (11 results) (of which Int'l Joint Research: 8 results, Invited: 3 results) Remarks (2 results)
The Astrophysical Journal
Volume: 922 Issue: 2 Pages: 206-206
10.3847/1538-4357/ac289b
Volume: 916 Issue: 2 Pages: 75-75
10.3847/1538-4357/ac0531
Volume: 907 Issue: 2 Pages: 108-108
10.3847/1538-4357/abc9c4
Volume: 891 Issue: 2 Pages: 164-164
10.3847/1538-4357/ab6e6b
ACS Earth and Space Chemistry
Volume: 3 Issue: 10 Pages: 2088-2109
10.1021/acsearthspacechem.9b00065
https://www.niigata-u.ac.jp/en/news/10259/
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2021/97383/