Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
素粒子の標準模型(SM)には、「何故、ニュートリノの質量は、他のクォーク・レプトンに比べて遥かに小さいのか?」、「何故、陽子と電子の電荷の絶対値は 21 桁以上の精度で等しいのか?」などの大いなる謎が存在する。これらの謎は、SMの背後の「より根本的な新しい物理(BSM)」の存在を強く示唆する。大統一理論 は、陽子と電子の電荷の絶対値が等しいことを数学的に保証するBSMの有力な候補であり、陽子崩壊を予言する。本研究では、ニュートリノ振動などで測定される物理量と陽子崩壊の相関などを理論的に調べ、大統一理論の情報を得ることを目標にする。更に、得られた相関から、観測可能な新たな予言ができないか調べる。
超対称SO(10)大統一理論に基づく模型のうち、10表現場一つ, 反126表現場一つ, 120表現場一つの湯川結合Y_10, Y_126, Y_120からクォーク・レプトン湯川結合が導出されるものを考えた。そして、クォーク・レプトン質量、CKM行列、ニュートリノ振動の実験値を正しく再現しつつ、colored Higgsino交換から生じる陽子崩壊(dimension-5陽子崩壊)の振幅を抑制し、軽い超対称粒子の存在と陽子寿命の実験的制限が無矛盾になるようなY_10, Y_126, Y_120の構造を数値的に解析した。この研究では特に、ニュートリノ微小質量がType-2シーソー機構から導出される場合を取り上げ、ニュートリノ・ディラックCP位相とdimension-5陽子崩壊振幅の抑制度との相関等を調査した。結果、ディラックCP位相が[-π/2,π/2]の領域にある時に、dimension-5陽子崩壊振幅が抑制される傾向があることがわかった。また、最小繰り込み可能超対称SO(10)大統一理論において、p→K^0 μ^+過程とp→K^+ ν_μbar過程の頻度の比の予言を行なった。興味深いことに、この比は、頻度そのものと違い、超対称粒子のスペクトルにほとんど依存しないので、超対称粒子が発見されない現状でも予言できる。クォーク・レプトン質量とフレーバー混合の実験値を正しく再現するような大統一理論の湯川結合を数値的に決定したのち、頻度の比の予言を行った。結果、p→K^0 μ^+過程とp→K^+ ν_μbar過程の頻度の比は0.05以上、0.6以下であることがわかった。これは、ハイパーカミオカンデにおいて両過程が共に観測されうることを意味する。さらに、最小SU(5)大統一理論における比を見積った結果、上記範囲より遥かに小さいことがわかった。ゆえに、両過程を観測することで、最小繰り込み可能超対称SO(10)大統一理論と最小SU(5)大統一理論を区別することができる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 7 results, Open Access: 5 results) Presentation (17 results) Remarks (1 results)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2021 Issue: 2 Pages: 1-28
10.1093/ptep/ptaa186
Volume: 2020 Issue: 7 Pages: 1-22
10.1093/ptep/ptaa089
120006975576
Volume: 2020 Issue: 9 Pages: 1-20
10.1093/ptep/ptaa097
Volume: 2020 Issue: 9 Pages: 1-8
10.1093/ptep/ptaa098
120006975577
Physical Review D
Volume: -
120006975584
Journal of High Energy Physics
Volume: 2019 Issue: 7 Pages: 1-14
10.1007/jhep07(2019)155
130008153609
http://www.phys.shimane-u.ac.jp/haba_lab/kenkyuuhi09.html