Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年,プランク衛星による宇宙背景放射の観測データと低い赤方偏移における観測(ハッブル宇宙望遠鏡,弱い重力レンズ等の観測)のデータから得られる「ハッブル定数」「8Mpcスケールの密度揺らぎの振幅(sigma_8)」の値の間に矛盾があることが問題として議論されている.この矛盾は観測における系統誤差等に起因する可能性もあるが,標準宇宙論の拡張を示唆している可能性もある.本研究では,ハッブル定数,及び,sigma_8の問題がどのような標準宇宙論の拡張を示唆しているか,また,そのような拡張された宇宙論の枠組みにおけるニュートリノ質量の宇宙観測からの制限を詳細に調べる.
ハッブル定数問題を解決し得るモデルは様々提案されているが、そのようなモデルの代表として、本研究では電子質量が宇宙の再結合時期付近において現在の値と異なっているモデル(電子質量が時間変化するモデル)を考え、このモデルのフレームワークにおける宇宙論観測データからのニュートリノ質量に対する制限を解析した(当該モデルの場合、平坦でない宇宙を考えると、ハッブル定数問題をより解決できるようになるため、非平坦な宇宙も含み解析を行った)。このモデルはハッブル定数問題を解決するために必要な一般的な条件を満たすモデルと考えられるため、このモデルのフレームワークにおける宇宙論的なニュートリノ質量に対する制限は、ハッブル定数問題を解決し得るシナリオにおける一般的な特徴を示すと考えられる。我々はこのモデルにおけるニュートリノ質量の宇宙論的な制限について、プランク衛星による宇宙背景放射、バリオン音響振動、超新星爆発のデータを等を用いてマルコフ連鎖モンテカルロ法による解析を行うことにより調べた。現在の宇宙論の標準的なモデルであるΛCDMモデルにおいては、宇宙背景放射の揺らぎの観測からニュートリノ質量に対する制限を解析した場合、ハッブル定数とニュートリノ質量は負の相関を持つが、上記のハッブル定数問題を解決し得るモデルにおいては、正の相関を持つことが分かった。そして、ニュートリノ質量に対する宇宙論的な制限がΛCDMモデルの場合より弱くなることを示した。本研究は、ハッブル定数問題がニュートリノ質量の制限に対して影響を与えることを具体的に示したのみでなく、同問題が他の宇宙論的な側面にも影響を与え得ることを示した点でも興味深いと考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (16 results) (of which Int'l Joint Research: 10 results, Peer Reviewed: 16 results, Open Access: 4 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Invited: 5 results)
The European Physical Journal C
Volume: 82 Issue: 1
10.1140/epjc/s10052-021-09978-w
Physical Review D
Volume: 105 Issue: 6 Pages: 063542-063542
10.1103/physrevd.105.063542
Volume: 103 Issue: 8 Pages: 083507-083507
10.1103/physrevd.103.083507
Volume: 103 Issue: 8 Pages: 083516-083516
10.1103/physrevd.103.083516
Volume: 104 Issue: 2 Pages: 023526-023526
10.1103/physrevd.104.023526
Volume: 104 Issue: 2 Pages: 023523-023523
10.1103/physrevd.104.023523
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
Volume: 2021 Issue: 01 Pages: 071-071
10.1088/1475-7516/2021/01/071
The Open Journal of Astrophysics
Volume: 4 Issue: 1 Pages: 1-1
10.21105/astro.2006.16182
Volume: 102 Issue: 4 Pages: 043524-043524
10.1103/physrevd.102.043524
Volume: 102 Issue: 8 Pages: 083515-083515
10.1103/physrevd.102.083515
Volume: 2020 Issue: 10 Pages: 053-053
10.1088/1475-7516/2020/10/053
Volume: 2020 Issue: 04 Pages: 015-015
10.1088/1475-7516/2020/04/015
Volume: 101 Issue: 8 Pages: 083520-083520
10.1103/physrevd.101.083520
Volume: 1904 Issue: 04 Pages: 035-035
10.1088/1475-7516/2019/04/035
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
Volume: 488 Issue: 2 Pages: 2001-2005
10.1093/mnras/stz1860
Volume: 100 Issue: 12 Pages: 123519-123519
10.1103/physrevd.100.123519