Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
近年、極低温原子気体を用いた研究が大きく進展しており、Efimov状態の研究も盛んに行われてきた。Efimov状態は、粒子間に遠距離相互作用があるときに、相互作用の共鳴点付近に現れる少数個の粒子が束縛された状態であり、粒子の種類等には影響されない普遍的な性質を持つ。そのため、原子核物理や低温物理等との分野横断的な研究が広がっている。他方で、冷却原子を用いたEfimov状態の研究には、Efimov状態を直接観測ができないという問題があった。本研究では、パルスレーザーを用いたEfimov状態の直接観測法を開発し、Efimov状態の研究をさらに進めることで、物質の階層構造の解明に貢献する。
本研究の目的は、3次元光格子中に生成した冷却原子集団を用いて、Feshbach共鳴付近に存在する特殊な3体束縛状態であるEfimov状態に関する研究を促進することである。特にパルスレーザーを用いた高速・高感度なイオン化検出法を利用することによって、Efimov状態の直接観測をはじめとする、詳細な研究を進めることを目標としていた。またEfimov状態は原子核物理等の他の物理系においてもユニバーサルに存在する状態であるために、物質の階層構造の形成の謎を解くカギとなる研究となっている。Efimov状態を効率よく生成するためには、BEC相転移温度付近まで冷却する必要がある。本研究ではその手法として、3次元光格子を使った新しい冷却法を開発した。本研究では、光共振器による2万倍の光増幅を利用することで、直径1㎜、深さ300uKの3次元光格子を実現し、この光格子に3x10^7個の多数の原子をトラップすることに成功した。さらにこのトラップされた原子を冷却する手法として、ラマンサイドバンド冷却と光格子の操作による圧縮を行った。その結果わずか300msの冷却時間で500nKという量子縮退温度付近まで冷却することに成功した。一般的な蒸発冷却の1/10以下の時間での冷却に成功している。これらの成果は、物理学会等で報告している。冷却された原子からEfimov状態を生成するための準備として、強磁場を発生させるコイルや、検出用のパルスレーザーの準備等を行っていたが、コロナ過の発生や私自身の異動もあり、Efimov状態生成までは到達していない。その他の活動として、計画研究C01班の高橋先生との週1回ペースでの2年間の継続したミーティングにより、Er原子とLi原子間のFeshbach共鳴観測実験に貢献した。さらに、計画研究C02班の堀越先生との議論により、極低温分子の光解離実験へも貢献してきた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Presentation (9 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 3 results)