Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
次世代型エネルギー炉の安全な稼働には、中性子や高エネルギー粒子照射環境に十分な耐性を持つ構造材料が必要不可欠である。本研究は、照射損傷にも放射化にも無縁な長期継続利用可能で安全な材料の創製を目指す先見的基礎研究である。この挑戦が成功裏に終わるためには、従来考えられなかった特性を有する材料の探索とその高機能化が必要であるが、本研究課題では、近年、材料構成原子の拡散挙動や欠陥形成挙動における特異性かつ照射損傷に対する優位性について報告されているハイエントロピー合金:HEA(高濃度固溶体合金:CSA)に着目し、極めて高い耐照射性を有する基礎材料として低放射化ハイエントロピー合金の創製を目標とする。
本研究では、現在も開発が進められている高エネルギー炉用構造材料のうち、316ステンレス鋼をはじめとするFCC構造材料の照射損傷、特に積層欠陥型損傷組織に着目した。FCC構造材料において主要な損傷組織である積層欠陥四面体(SFT)およびフランクループ(FL)の形成・成長挙動は、材料の積層欠陥エネルギー(SFE)に強く依存すると考えられており、このことは逆に言えば、構成元素を適切に選択することにより材料のSFEを変化させ、照射損傷挙動を制御できる可能性があることを示唆している。本研究では、316ステンレス鋼に近い機械的特性を有するCoフリーのFeCrNiMn系ハイエントロピー合金を軸に、Mn, Niの組成を変えたハイエントロピー合金を作製し、電子及びイオン照射実験を行うことで、SFTおよびFLの形成・成長挙動から低放射化FCC型ハイエントロピー合金の耐照射性について検討した。CoCrFeNiMnx (x=0.7.1,1.3)合金及びFeCr0.8NixMny 合金((x,y)=(1,1), (1,1.3), (1.3,1.3), (1.5,1.5))を高周波溶解炉、アーク溶解炉によってそれぞれ作製し、SEMとXRDで結晶組織観察および相同定を行ったのち、機械特性調査のために引張試験を行った。さらに耐照射性を評価するために、電子照射実験およびイオン照射実験を行い、500℃における照射損傷挙動を調査した。作製した各種合金についてTEMを用いて各合金のSFEを調査した結果、SFEとNi,Mn濃度との間に正の相関が観られた。さらに、照射実験の結果、高SFEハイエントロピー合金では照射誘起2次欠陥の形成・成長が抑制されることが分かり、Ni,Mn濃度の調整により、ハイエントロピー合金の耐照射特性を向上させられる可能性を示した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 2 results) Presentation (16 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results)
MATERIALS TRANSACTIONS
Volume: 61 Issue: 7 Pages: 1247-1251
10.2320/matertrans.MT-M2020049
130007864095
Volume: 61 Issue: 4 Pages: 616-621
10.2320/matertrans.MT-MK2019009
130007815341
J. Nucl. Sci. and Tech.
Volume: 57 Issue: 11 Pages: 1223-1230
10.1080/00223131.2020.1779143
J. Nucl. Mater.
Volume: 529 Pages: 152324-152324
10.1016/j.jnucmat.2020.152324