Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
宇宙X線検出器として高分解能・高感度という優れた性能を示すTESカロリメータを、同じ keV エネルギー領域のビームエネルギーをもつ中性分子ビームの検出に応用する。特に静電型イオン蓄積リング中で再現する宇宙化学反応で生成される中性分子のエネルギー決定に焦点をあて、TES カロリメータの粒子検出器としての性能限界を明らかする。新学術領域「宇宙観測検出器と量子ビームの出会い。新たな応用への架け橋。」が志向する宇宙検出器の基礎科学分野への進展を強力にサポートすると共に、これまでの物理化学では存在しなかった検出効率 100%での中性反応生成物の直接同定という新手法の確立を目指す。
本公募研究では、宇宙X線検出器として高分解能・高感度という優れた性能を示す超伝導遷移端(TES)マイクロカロリメータを、同じkeVエネルギーの検出領域における中性分子ビーム検出に応用することを目的とする。特に、極低温静電型イオン蓄積リング中で再現する宇宙化学反応で生成される中性分子のエネルギー決定に焦点を当て、宇宙検出器を地上実験における全く新しい質量同定粒子検出へと応用する可能性を追求する。TESカロリメータは、熱としてのX線エネルギー流入を超伝導転移温度における抵抗上昇として検出することで、高感度・高分解能なカロリメータとして働く。蓄積リングにおけるイオン-分子合流ビーム反応で生成される等速度で飛来する生成物は、質量に応じて異なる並進エネルギーを持つため、TESによる粒子の直接検出により中性生成物をイオン化することなく質量スペクトルの測定が可能である。本研究の実験上の最大の挑戦は、通常のX線検出時にTES前面に装着されている背景からの熱輻射流入を防ぐための窓材を取り外し、開放された空間からの入射粒子を検出する点にある。2年計画で進めている本公募研究の最終年度においては、まず初年度に製作及び設置を完了したTESと極低温静電型イオン蓄積リング(RICE)のドッキング部分の詳細な動作環境確認を行なった。まず差動排気システムにより、TES側10^-3PaとRICE側10^-10Paを空間的に接続することに成功した。また熱輻射抑制に関しては接続チャンバーに4KGM冷凍機を導入し、また2層構造を持つ輻射シールドを設置した。このシールドに種々の改造を施し、特に小径のピンホールを持つ輻射キャップをシールド先端に取り付けることで、TESにおいて50mK以下の温度を実現することに成功した。また蓄積リングにおける分子イオンビームのレーザー光解離実験による中性粒子の生成にも成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019 Other
All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 2 results) Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)
Physical Review A
Volume: 102 Issue: 2 Pages: 023119-023119
10.1103/physreva.102.023119
The Journal of Chemical Physics
Volume: 153 Issue: 18 Pages: 184305-184305
10.1063/5.0027805