Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
うつ病は遺伝的要因のみならず、環境・経験によって引き起こされる部分が大きいと考えられる。そのため、その病態および原因の解明には環境変化・経験前後の比較研究が重要と考えられる。しかし、ヒトでは遺伝学的・環境要因を統一することが難しいこと、 動物モデルでは"生きたまま"ストレスの影響を検討・解析する手法は限られた手法しかなく、その方法にも問題点がある。本研究ではマウス覚醒下における functional magnetic resonance imaging (fMRI)を用いて、ストレスが脳内機能的連絡にどのような変化をもたらすかを経験前・途中・後の3点の時間軸にて明らかにすることを目的とする。
うつ病の病態解明および原因解明の研究には環境変化・経験前後の比較研究が重要と考えられる。ヒトは遺伝学的・環境要因が不均一であるが、モデル生物、例えばマウスのような齧歯類では遺伝的背景が統一されているため、環境・経験による要因を解析することが可能となる。しかし、これまでの研究手法ではそのストレスが加わる前後、および途中の解析、ということは限られた手法しか存在せず、その手法自体にも現存する問題点がありる。特に細胞でもなく、個体レベルでもない中間的視点の定量的解析方法が不足していると考えられる。そのため、脳機能の変化を同一個体で追うことは現時点では難しい。ストレスによる“脳機能の変化”こそ、うつ病の事前リスク、および発症にいたる前の個別の閾値を調べることが可能になるのではないかと仮説を立てた。本研究ではマウスの覚醒下におけるfMRIを用いて、ストレスが脳内機能的結合にどのような変化をもたらすかをストレス経験前、途中、後の3点にて明らかにすることを目的とする。また、この機能的連絡と行動試験結果の間の相関関係を調べ、個体毎のストレス脆弱性/耐性についての因果関係に迫る。本研究により以下の成果を得ている。①ストレス脆弱性群は複数の脳領域で機能的結合が増強していた。②この増強はストレス耐性群では認められなかった。③これらの脳領域の一部は社会的行動試験との相関が認められた。うつ病は頻度の高い精神疾患である。セロトニンやノルアドレナリンを標的とした阻害薬等が現在用いられているが、全ての患者に有効というわけではない。よって、新たなアプローチによる病態解明がこれまでにない治療方針の創出を生む可能性がある。本研究は、社会的ストレスによる脳内機能的結合を網羅的に調べ、脆弱性の高い領域を抽出し、うつ病の神経回路を理解を深めるものである。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
BIO-PROTOCOL
Volume: 11 Issue: 7 Pages: 1-9
10.21769/bioprotoc.3972
Science Advances
Volume: 6 Issue: 6 Pages: 1-15
10.1126/sciadv.aav4520