Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
正常な細胞活動や疾患の原因として、タンパク質に翻訳されない小さなRNA(小分子RNA)が大きな役割を果たす。そうした小さなRNAの1グループであるpiRNAは、個体発生や生命の次世代継承にとって重大な脅威となるトランスポゾンの転写抑制を行う。我々はこれまでの研究を通して、このpiRNAによるトランスポゾンの転写抑制が、クロマチン凝集を介するものであることを解明してきた。本研究では、piRNAが形成するクロマチン状態の包括的な解析と関連因子のスクリーニングをオミクス解析技術により行い、さらに、個々の因子の詳細な機能解析を生化学実験により行うことで、piRNAによるクロマチンポテンシャルと遺伝子発現の制御機構を明らかにする。
本研究では、小分子RNAが制御するクロマチンポテンシャルの全貌と分子機構の詳細を解明を目指している。前年度までの研究成果から、Piwi-piRNAは局所的な標的トランスポゾンの抑制に止まらず、標的トランスポゾン周辺ゲノム領域のヒストン修飾状態、さらにはゲノムの高次構造や核内局在の変化を誘導することで、ゲノムワイドなクロマチンポテンシャルと遺伝子発現を制御することを見出した。本年度は、Piwiタンパク質ノックダウン時に起こるヒストン修飾、核内局在、ゲノム三次元構造など様々な階層での制御が互いにどのような関係性にあるかを解析し、時系列でのヘテロクロマチン形成過程を明らかにした。先行研究にて構築した、Piwi-piRNAによるヘテロクロマチン形成を人工的に再現し、時系列で観察する実験系を用いて(Iwasaki and Murano et al., EMBOJ 2019)、Piwi-piRNAによるトランスポゾンの転写制御は、まずPolIIの制御と活性型ヒストン修飾の除去にはじまり、次にH3K9me3修飾やH1のクロマチン結合が起こるという複数のステップを観察することができた。これを発展させ、piRNA標的ゲノム領域の核内位置関係をOligo-FISH解析により時系列で同定した。加えて、Piwiノックダウン時に観察されるゲノム高次構造の変化は、抑制性ヒストン修飾の変化と相関することを明らかにした。これらの結果から、Piwi-piRNAによる制御は、まず核内配置の変化および活性型ヒストン修飾の除去からはじまり、それがH3K9me3修飾の付加やゲノム三次元構造の変化につながるという段階的なヘテロクロマチン形成を明らかにすることができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nucleic Acids Research
Volume: 49 Issue: 5 Pages: 2700-2720
10.1093/nar/gkab059
bioRxiv
Volume: -
10.1101/2021.01.27.428354
The EMBO Journal
Volume: 印刷中 Issue: 17 Pages: 1-20
10.15252/embj.2019102870
http://www.med.keio.ac.jp/spotlight/2019/11/58-66506/