Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
やわらかいロボットを作る方法は「ロボットの構造をやわらかい材料で作る方法」と「関節のアクチュエータをやわらかくする方法」に大別される。後者について、これまでに油圧アクチュエータを用いた等身大ヒューマノイドを開発してきた。やわらかさ/硬さを変化させられる関節駆動機構が実現した一方、ロボットの手や足部などを「構造をやわらかい材料で作る」ことで接触の安定性を向上させることが期待できる。本研究課題では、やわらかい弾性体に基づくソフトロボティクスの方法論に油圧アクチュエータとそれを用いたヒューマノイドの制御を結びつけることにより、やわらかさと力制御性を両立する新しいヒューマノイドの開発を目指す。
やわらかい材料で作った構造を油圧で制御するソフト油圧ロボティクスによって、やわらかさと力強さを両立するロボットハンドの開発を行った。1. ロボットハンドに用いる指部について、耐油性をもつニトリルゴムを切削加工により円筒状に成型し、その周辺を繊維で拘束するのと同時に指の腹側の変形をゴムライク樹脂によって拘束することで、円筒内部に高圧を印加して屈曲変形を取りだす指構造を開発した。2. 指2本からなるロボットハンドを試作し、それを用いて5kgの物体の把持実験に成功した。これは既存のソフトロボットに比べてはるかに高い把持力を実現していることを意味する。3. 指に入力する圧力とそれによって生じる屈曲角の関係をベイズ線形回帰モデルにより確率的にモデル化した。また、屈曲角をカメラ画像でセンシングし、それをフィードバックすることで屈曲角を精度よく制御する方法を開発した。4. カメラ画像のデータから機械学習技術により画像中の物体を認識し、適切に物体把持を行う制御系を実現した。また、ヒューマノイドの足部について、スポーツ義足のような柔軟変形する構造を脚部に持つような多リンク系の運動についても研究を行った。特に、梁やロッドとして近似できる構造の柔軟変形の運動を区分的一定ひずみモデルでモデル化し、そのダイナミクスをシミュレーションする技術を開発した。これらの研究成果は人間と同程度のスケールの把持力を実現しつつ柔軟性を兼ね備えたロボットハンドや、スポーツ義足等の人間が装着する柔軟な構造をモデル化しシミュレーションする技術へ応用でき、従来のソフトロボットの枠組みを人間スケールの運動と力を実現するロボットシステムへと拡張する研究成果である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 Other
All Presentation (6 results) Remarks (1 results)
http://www.ynl.t.u-tokyo.ac.jp/member/yamamoto/index-j.html