Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
私たちのからだをつくる細胞とゲル(ゼリー状の素材)を組み合わせて、筋肉の様に伸び縮みする部品と、その部品の動きを制御する脳の働きをする部品をつくります。さらにこの二つの部品を組み合わせることで「自ら考えて動き出す生きたバイオロボット」をつくります。このようにして組み立てたバイオロボットが、運動という動物の基本的な機能を獲得するメカニズムを明らかにします。以上の研究を通して、私たち動物がどうやって運動という基本機能を獲得したのかをしることが本研究の最終目標です。
本研究では、やわらかい制御装置である脳オルガノイドとやわらかいアクチュエーターである再生筋組織とを接続させることで、自律運動を行う生きたバイオロボットを構築する方法を確立する。そして、バイオロボットが自律運動を獲得するための必要条件を明らかにすることが本研究の目的である。本研究では、二つの仮説に基づいて研究を遂行した。一つは、バイオロボットは脳オルガノイドと再生筋組織を単に接続させるだけで、自律運動機能を獲得するという仮説である(仮説1)。もう一つは、バイオロボットが自律運動機能を獲得するためには、脳オルガノイドに運動を学習させる必要があるという仮説である(仮説2)。本研究の遂行により、上述の二つの仮説を検証するために必要となる、機能的な再生筋組織を構築する技術、脳オルガノイドと再生筋組織とを接続する技術、そして、脳オルガノイドと再生筋組織からなる複合組織を共培養する技術を確立することができた。また、多管構造を持つコラーゲンゲルを使った脳オルガノイドの構築技術を確立し、これを計画班清水正宏教授のグループが開発した筋細胞ロボットと接続することで、局所的ではあるが自律的な運動が発現することを確認することができた。この結果は、脳オルガノイドと再生筋組織とからなるバイオロボットは、単に接続させるだけで自律運動を獲得することができるという仮説を支持している。一方で、今回観察された自律運動は拍動のような不随意運動であり、何らかの目的が確認できるような能動的な運動は観察されなかった。また、筋細胞ロボット全体が収縮したり、ねじれたりする等の巨視的な自律運動も観察することができなかった。今後、これらの課題を解決するために、脳オルガノイドと再生筋組織とを制御して接続する技術と、脳オルガノイドに能動的な運動を学習させる技術を開発する必要がある。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results)
Journal of Cell Science
Volume: 133 Issue: 14 Pages: 243865-243865
10.1242/jcs.243865
120007124455
福井工業大学研究紀要
Volume: 50 Pages: 353-357
2019 International Symposium on Micro-NanoMechatronics and Human Science
Volume: - Pages: 69-71