Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
植物は、強い日差しに対しては、可逆的に萎れたり、葉の角度を変えることにより、過熱や過蒸散を抑えることができる。葉の構造を制御するには、細胞に発生する膨圧と、表皮や柔組織、維管束などの各組織の形状や力学特性が適当なバランスで組み合わせられている必要がある。細胞レベルの力学バランス(浸透圧や膨圧)はよく理解・体系化されているが、組織レベルの力学バランスの理解は大きく立ち遅れている。本研究では、細胞レベルだけでなく、組織レベルの力学を測定・統合し、葉の構造の制御機構を明らかにしたい。
多くの植物は、水分条件に応じて可逆的に葉の角度を変えたり、萎れるという特性をもつ。このような可逆的な構造の調節は、環境条件に応じて、受光面積を調節し、過熱や過蒸散を避けつつ、生産を最大化させることができる。本研究の目的は、このような植物の柔軟な構造制御のメカニズムを明らかにすることである。最終年度(2年目)の本年度は、以下の研究を行った。(1)脱水に伴う葉の厚さ、長さ、幅の形状変化と各方向におけるヤング率の測定、(2)脱水に伴う葉の形状変化の計測、(3)脱水に伴う葉の組織レベルの力学特性の変化のモデル化、(4)葉の萎れから復活する様子を再現する人工物の作成。(1)の実験では、様々な植物の葉について、脱水による変形を、xyzの3軸方向について計測した。さらにそれぞれの方向についてヤング率を計測した。特に厚さ方向のヤング率計測に関しては、新たな治具を作成し、新規性の高いデータを得た。長さや幅方向に比べて、厚さ方向の変形率は大きかったが、これはヤング率の違いでおおよそ説明できた。(2)に関しては、脱水に伴う葉の形状変化を詳細に測定するシステムを構築した。レーザー変位計とxy自動ステージを組み合わせ、μmオーダーで、葉の厚さと変位の両方を計測することに成功した。また3Dスキャナを利用し、葉の萎れの大変形データも得た。(3)に関しては、細胞の力学バランスと、葉の組織レベルの力学バランスを連結する新たなモデルを構築した。このモデルにより、サンドイッチ構造と膨圧の組み合わせにより、効果的に葉の曲げ剛性の調節が行われていることを実証できる。(4)葉の可逆的な萎れを人工物で再現する実験にも取り組み、試行錯誤のすえ、吸水による自重増加の影響を上回る曲げ剛性をもつ素材の組み合わせを作ることにも成功した。その他、関連する植物の力学研究にも複数の進展があった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019
All Journal Article (7 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 2 results) Presentation (17 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)
Plant Molecular Biology
Volume: - Issue: 4-5 Pages: 279-291
10.1007/s11103-021-01146-8
Ecological Research
Volume: in press
Plant Biotechnology
Volume: 37 Issue: 4 Pages: 471-474
10.5511/plantbiotechnology.20.1214a
130007960256
BSJ-Review
Volume: 11 Issue: A Pages: 60-74
10.24480/bsj-review.11a6.00178
Authorea Preprints
Volume: NA
10.22541/au.160794364.42389606/v1
New Phytologist
Volume: 印刷中 Issue: 2 Pages: 607-618
10.1111/nph.15803
Annals of Botany
Volume: 125 Issue: 3 Pages: 533-542
10.1093/aob/mcz196
120006888010