Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生体は高度に洗練された運動システムを備えている。例えば筋肉では、筋フィラメントが高い配向・配列規則性をもって階層的に集積化することで、優れた運動機能が実現されている。本研究では、分子の自己集合により得られる高規則性・高配向性の有機薄膜を用いて、筋肉組織のように異方的かつ可逆的に伸縮する新たな薄膜材料の創出を目指す。また、その伸縮運動のメカニズムを検討し、優れた動的特性を示す新たな有機材料の創製を図る。これら、原理探求型の取り組みを通じて、最終的には、微小な環境変化に対して劇的な力学応答を示す薄膜や、圧力に応じて異方的伸長運動を引き起こす薄膜など、特異な発動作用をもたらす有機薄膜の開発を目指す。
本研究は、独自に開発した三脚型トリプチセンの自己集合により得られる「2次元シート構造+1次元積層構造」をもつ配向多層膜を基盤として、外部刺激や周囲環境変化に鋭敏に応答し、構造を異方的かつ可逆的に変化させる発動分子システムを構築し、新たな力学機能を創出することを目的とする。申請者らは、側鎖に内部不飽和結合部位を有する三脚型トリプチセンが形成する多層膜が、その層間に様々な有機溶媒分子を一分子層の厚みで取り込み、膜厚を異方的かつ可逆的に変化させることを見出した。側鎖の不飽和結合の位置や数を変えた分子を系統的に検討したところ、興味深いことに、不飽和結合の数が多いほど溶媒取り込みの飽和量が多くなることを見出した。さらに、誘導体のひとつで単結晶構造解析に成功し、固体状態でのパッキング構造を明らかにできた。また、薄膜に取り込まれない貧溶媒として水を用い、取り込まれる溶媒としてTHFを用いて相対濃度と取り込み量を検討したところ、興味深いことに、THFの割合の上昇に応じてシグモイド型の取り込み挙動が観測された。上記の検討結果に基づいて、溶媒取り込みのメカニズムを推定することができた。現在、成果を論文として取りまとめている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020 2019 Other
All Presentation (4 results) (of which Invited: 2 results) Remarks (1 results)
http://fuku.res.titech.ac.jp