Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
医学が大幅に進歩した現在においても、ウイルス感染症は人類が対策を怠ることができない疾病である。我々は、ウイルス粒子数を厳密に制御して感染実験を行う手法を開発し、1細胞あたりに暴露されるウイルス粒子数が20個以上と20個未満の場合で感染時に生じる宿主細胞の応答が劇的に変化することを明らかにした。本研究では、この20個/宿主細胞がウイルス感染における「特異点」、この数値を境に細胞応答の変化を「ウイルス感染のシンギュラリティ現象」と定義し、「ウイルス感染初期段階におけるシンギュラリティ細胞の役割と現実世界での感染様式」を解明する。
我々はこれまでに、カルシウムチャネルがインフルエンザウイルス感染の鍵となる受容体であることを報告している。また、一部の細胞株においては、どんなに高力価のウイルスを暴露しても、感染効率は60~70%程度にとどまることを見出している。すなわち、細胞種依存的にウイルス感染のheterogeneityが存在する。興味深いことに、カルシウム チャネルがこのheterogeneityに関与することを示唆することが明らかになった(論文投稿準備中)。一方で、細胞に暴露するウイルスの感染価を下げても、感染細胞数決して0にならない。またこの時認められる感染細胞数は、カルシウムチャネル阻害薬によって変化しない。つまり、ある点を境に感染モードがカルシウムイオン非依存性からカルシウムイオン依存性にシフトする「特異点」があることを明らかにした。加えてこれらの現象を、ウイルス粒子を精密測定した上で実行することより、特異点はウイルスの粒子数により決定され、その数20個であることが判明した。すなわち、インフルエンザウイルス感染には粒子によるシンギュラリティ現象が存在することが明らかになった。次に、特異点を乗り越えるメカニズムが何であるかを明らかにするために、広視野カルシウムイメージングを行った。その結果、カルシウムシグナル自身がカルシウムイオン非依存性からカルシウムイオン依存性へとシフトするキューであることが明らかになった。ウイルス感染が生じた細胞を起点にカルシウム伝播が生じるとカルシウムイオン依存性に感染が生じやすくなる「感染場」のようなものが形成され、その伝播の波をトレースするように、インフルエンザウイルス感染が拡大する。この感染拡大は我々が開発した感染レポーターにより追跡した。これらの研究に加えて、ウイルス感染モードのシンギュラリティ現象について、SARS-CoV-2を用いた実験も展開中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019 Other
All Journal Article (7 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 7 results, Open Access: 7 results) Presentation (16 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 3 results) Remarks (1 results)
Cell Structure and Function
Volume: 45 Issue: 2 Pages: 155-163
10.1247/csf.20030
130007961120
Nature Communications
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 1-16
10.1038/s41467-020-18257-3
Current Biology
Volume: 30 Issue: 4 Pages: 670-681.e6
10.1016/j.cub.2019.11.089
120006960639
Volume: 44 Issue: 2 Pages: 195-204
10.1247/csf.19033
130007775561
Volume: 44 Issue: 2 Pages: 183-194
10.1247/csf.19028
130007775556
Int J Mol Sci
Volume: 20 Issue: 18 Pages: 4595-4595
10.3390/ijms20184595
International Journal of Hematology
Volume: 110 Issue: 4 Pages: 482-489
10.1007/s12185-019-02696-w
http://cp.med.hokudai.ac.jp