Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究が明らかにしようとすることは次の3点である。(a) マスク許容性の世代間差:マスク装着による対人認知変調を日本国内で複数の年齢層で測定し,世代内・間のマスク顕在・潜在許容度を検証すること。(b) マスク=不健康さ図式の国・地域別推定:(a)の測定をベースに,マスク装着の対人認知変調をマスク普及国内,非普及国内,およびそれらの国と日本との間で測定すること。(c) 顕在的・潜在的ポジティブ効果:マスク着用によるポジティブな側面として,不安低減,自己開示増加効果を(可能であれば普及国でも)検証する。
本研究はコロナウィルス感染症2019の世界的流行という社会的な大変化に際して,マスクを常時着用する行動に対する態度や,それが顔認知に変容をもたらしたことを,流行以前の(2016年の)データとの直接比較を世界で初めて行い,流行の最中に報告できた。マスク着用への態度はポジティブに変化し,不健康さとの繋がりは大幅に薄れた。さらに,感染症流行下ではマスク着用はもとの魅力が低い顔の魅力を高め,もとの魅力が高い顔の魅力を低下させたことがわかった。以前はマスクは着用者の魅力を総じて低下させていたこととは大きく異なっていた。本論文はこうした結果をマスク顔の魅力評価の2要素モデルで説明できることを示した。本研究の学術的意義は,マスクで遮蔽されている部分をどのように補っているかという顔認識理論での問題に対し,最頻値補間仮説を提案したことである。従来は,遮蔽部分は個別の顔を合成・平均したテンプレートで補っていると考えられていた。しかし,本研究で得られたデータは平均顔補間仮説では説明できなかったため,新たな仮説が必要でした。そこで本論文では,観察者の経験に基づいた最頻値の魅力顔によって補われるという最頻値補間仮説を提案した。これは,理想的な顔ではなく,ありふれた顔で補うという考え方であり,この考え方ならば,COVID-19流行に際して大いに活性化されたマスクによる遮蔽顔のデータをよく説明しうることが示された。特徴的な点としては,一見すると従来の知見では説明できない他人種顔でのマスク遮蔽実験のデータを,最頻値補間仮説に取り込んだことである。このマスクによる顔の補間に関する発見は,学術的な関心だけでなく,今後のCOVID-19感染の終息に伴って、マスクを外そうとする行動の予測にも貢献しうるだろう。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2020
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Book (1 results)
Frontiers in Psychology
Volume: 13 Pages: 01-11
10.3389/fpsyg.2022.953389
Volume: 13
10.3389/fpsyg.2022.864936
i-Perception
Volume: 13 Issue: 3
10.1177/20416695221105910
The Japanese Journal of Ergonomics
Volume: 56 Issue: 1 Pages: 29-33
10.5100/jje.56.29
130007987435