Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
水の惑星・地球の形成を理解するために、小惑星が注目されている。それは、小惑星は惑星が出来る前の段階の微惑星の名残りと考えられ、その小惑星の多くに現在も水が含まれている事が解ってきたからである。宇宙から地球に落下してくる隕石は小惑星の破片だと考えられていて、隕石の多様性は小惑星形成の環境や条件の多様性を意味していると考えられている。本研究で扱うCRコンドライトという隕石は、遠く冷たい領域で出来た小惑星の破片だと考えられていて、その隕石の中にある45億年前に水と岩石が反応して出来た炭酸塩鉱物の同位体比を調べる事で、どの位遠い領域で形成し、そこにどんな揮発性物質があったのかを理解する事を目指している。
CRコンドライトの細粒組織(マトリックス)には、約45.6億年前に隕石母天体(微惑星)で発生した熱水活動で形成した炭酸塩鉱物が残されている。この炭酸塩鉱物の炭素同位体比と酸素同位体比を分析したところ、炭酸塩鉱物の炭素同位体比はTagish Lake隕石の炭酸塩に近いd13C~+70パーミルという重い同位体比を持ち、酸素同位体比はCMコンドライトの炭酸塩に比べて低い酸素同位体比(d18O~+25パーミル)を持つ事が明らかになった。高い炭素同位体比は、約45.6億年前にCRコンドライト母天体に存在した流体に溶存していた炭素の供給源がマトリックス中の有機物が酸化されたものではなく、微惑星に集積したCO2氷であった可能性を示している。また、CMコンドライトに比べて低い酸素同位体比は、CRコンドライト母天体に集積したH2O氷の酸素同位体比組成がCMコンドライト母天体に集積したH2O氷と異なっていた事を示している。CRコンドライト母天体はCMコンドライト母天体よりも遠方で形成したと考えられている。CO2氷の存在を示唆する炭酸塩鉱物の炭素同位体比は遠方で形成したとする仮説と整合的であり、炭酸塩鉱物の酸素同位体比の違いは、太陽系原始惑星系円盤において動径方向に酸素同位体比の違いが存在した事を示している。これらの成果は国内外の研究会にて発表を行い、論文発表に向けた準備を進めている。この他、CKコンドライトに取り込まれている、別の母天体の中で高温の変成作用を経験して形成したと考えられる岩片の酸素同位体比組成の測定を行い、形成温度と起源物質・母天体に関する議論を行った。研究成果は共同研究者が国内の研究会にて発表し、論文発表に向けて準備を進めている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 1 results)
Geochimica et Cosmochimica Acta
Volume: 293 Pages: 328-343
10.1016/j.gca.2020.11.003