Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
リオトロピック液晶共連続キュービック相の精度の高い電子密度分布を調べ、構造モデルを構築する。この構造モデルに内包されている、様々な現象を理解し、構造モデルにもフィードバックを行う。そしてその共連続キュービック相で、観測された構造が形成される原理を明らかにする。この研究を、構成分子が異なる両親媒性分子の共連続キュービック相で行い、多くの共連続キュービック相構造を得る。両親媒性分子によって共連続キュービック相が出現する温度条件も異なるので、広い温度条件で測定できる装置も開発する。そして、すべての共連続キュービック相構造に共通な構造形成原理を見出す。
両親媒性分子と水からなるリオトロピック液晶共連続キュービック相は、三重周期極小曲面によく似た構造を形成する。この構造が内包する現象を理解することを目的に研究を行った。リオトロピック液晶共連続キュービック相は、三重周期極小曲面様構造を持つ。このため多くの研究でX線回折測定は行われるが、液晶相の決定のみに用いられ、それ以上の電子密度情報を得ることはほとんどない。これはX線回折では、構造因子の振幅は求まるが位相は求まらない、いわゆる位相問題のためである。この問題を解決するために、二つの位相復元手法を開発した。一つ目は昨年度から継続して開発した、指標に基づく復元法である。リオトロピック液晶共連続キュービック相は、構造的な乱れのため、観測される独立な反射の数が少ない。また中心対称性を持つため、位相が0かπに限定される。この特徴を用いてすべての位相組み合わせで電子密度を計算し、指標が小さいときに正しい位相組み合わせに近くなることを示し、位相復元が可能となった。この研究に関する論文は投稿中である。二つ目は、反復を用いた復元法で、独立な反射の数が多く、中心対称性の無い構造でも使用できる。位相の信頼性の高いテストデータを用いて位相復元を試したところ、半分以上で制約なしで位相を復元することができた。残りについても、体積分率、実数構造因子などの制約を課すことで位相が復元できた。これらの手法を用いて、リオトロピック液晶共連続キュービック相や他の系においても構造解析を進めている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)