Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では特定のマイクロRNA (miRNA) を効率的に検出可能な紙デバイスを創製し、高感度かつ簡便ながんのリキッドバイオプシーを開発することで、がんの迅速な診断法の確立に貢献する。具体的には、miRNAの高感度化にDNAナノテクノロジーを、診断のアウトプット法に生体直交型の化学反応を用いることで、様々なmiRNAに対するリキッドバイオプシーを可能にする。
本研究では、がん患者の体液中に特異的に存在するマイクロRNA (miRNA) を高感度に検出するシステムを開発し、従来の検査方法と比較して低侵襲性のリキッドバイオプシーの開発を目的とする。開発したシステムを搭載した紙デバイスを作製し、簡便で高感度ながん診断を実現する。2021年度は昨年度に引き続き、代表的ながんのマーカーmiRNAであるmiR-21の検出技術の開発に取り組んだ。これまでに用いていた核酸ナノ技術であるHybridization Chain Reaction (HCR) のみならず、Catalytic Hairpin Assembly (CHA) と呼ばれる技術も新たに採用した。miR-21を触媒としたCHAによって蛍光分子AMCが放出・活性化されるDNAシステムを構築し、実際にmiR-21の添加によって蛍光強度が増大することを確認した。さらに、miR-21触媒型CHAによって抗がん分子SN-38が放出・活性化されるDNAシステムも構築し、がん細胞選択的な化学療法の開発にも取り組んだ。miR-21を発現している子宮頸がんHeLa細胞および乳がんMDA-MB-231細胞に構築したDNAシステムを導入した結果、正常細胞であるMRC-5と比較して有意に細胞死を引き起こすことができた。本結果はmiR-21をマーカー分子とした副作用の少ないがん治療への応用が期待される。以上、本研究では分子夾雑環境である細胞内や体液内で特定のmiRNAと選択的に反応し、様々な低分子化合物を放出・活性化するDNA技術の開発に取り組んだ。これまでに2種類の核酸ナノ技術を用い、miR-21によって3種類の低分子化合物を放出できるDNAシステムを構築した。これらを用いることで、miR-21を蛍光、色調、抗がん活性の変化によってセンシングすることが可能になった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (4 results)
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 143 Issue: 9 Pages: 3340-3347
10.1021/jacs.0c10732