Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、生体内タンパク質の各種バリアント(プロテオフォーム)の包括的解析を可能にする次世代プロテオーム解析技術「トップダウンプロテオミクス」を駆使して、分子夾雑環境にあるプロテオフォームの恒常性を理解するための革新的計測手法を開発する。本研究により、動物個体のプロテオフォーム動態を解析するための計測基盤が構築される。培養細胞レベルではなく、組織レベルにおいて加齢や疾患に伴う詳細なプロテオスタシスの変化を捉えることが可能となるため、プロテオスタシス研究のブレークスルーとなることが期待できる。
本研究ではプロテオフォームを高感度に解析するための新しい質量分析技術を開発し、生体内の分子夾雑環境におけるプロテオフォーム動態を理解するための計測基盤を構築することを目的とする。今年度は研究代表がこれまでに確立したSDS-PAGEベースのプロテオーム分画法であるPEPPI-MSを活用して、トップダウン質量分析による高深度プロテオフォーム解析システムの開発をおこなった。PEPPI分画にはタンパク質のイオン化を強く抑制する夾雑成分(アクリルアミドフィラメント、SDS、泳動バッファー等)が大量に含まれており、現状では有機溶媒を用いた沈殿処理によりタンパク質を精製してから解析を行っている。有機溶媒による精製は、SDSやCBBの効果的かつ低コストな除去を可能にするが、低分子量タンパク質の損失や、沈殿タンパク質の再溶解が困難となることが問題である。そこで本研究では有機溶媒沈殿に代わる精製法として、アニオン交換固相抽出スピンカラムを用いたインタクトタンパク質精製法を新たに開発した。開発手法ではサンプルを陰イオン交換SPEカラムに一旦捕獲し、CBBやSDSなどの質量分析を妨げる夾雑物を除去することが可能であり、トップダウン質量分析のための迅速なサンプル精製が可能であった。精製サンプルの評価は、クリスティアン・アルブレヒト大学キールのAndreas Tholey教授のグループとの共同研究により高性能オービトラップ型質量分析装置を用いて実施した。その結果、新規精製法の導入により検出可能なプロテオフォーム数が約2倍向上することが明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 Other
All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 2 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 3 results)
Chemical Communications
Volume: 58 Issue: 6 Pages: 775-778
10.1039/d1cc05529a
電気泳動
Volume: 66
Electrophoresis Letters
Volume: 65 Issue: 2 Pages: 63-68
10.2198/electroph.65.63
130008072902
Journal of Proteome Research
Volume: 19 Issue: 9 Pages: 3779-3791
10.1021/acs.jproteome.0c00303
Volume: 20 Issue: 3 Pages: 1535-1543
10.1021/acs.jproteome.0c00749