Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
2017年8月に検出された重力波GW170817は、中性子合体による重力波の初めての電磁波対応天体であった。南アフリカ天文台IRSF望遠鏡で、この電磁波対応天体の近赤外線での光度変化、色変化を観測し、理論モデルとの比較からrプロセスで生成される重元素が生成された可能性が示唆された。 しかし、可視光と近赤外線データに時間的な同時性がないため、短時間での色変化は分からなかった。そこで本研究では、重力波源の電磁波対応天体の可視近赤外線同時観測をIRSF望遠鏡で可能にするシステムを構築する。IRSF望遠鏡の近赤外線3波長同時観測カメラに可視カメラを搭載し、可視近赤外線5バンド同時撮像観測を可能にする。
本研究では、南アフリカ天文台IRSF1.4m望遠鏡の近赤外線3波長 (Jバンド; 1.2 μm、Hバンド: 1.6 μm、Ksバンド : 2.2 μm) 同時観測カメラ (SIRIUS) に搭載する2バンド (g'700;バンド; 480 nm、i';バンド: 770 nm) 同時撮像可視光カメラの開発を行ってきた。既存のSIRIUSと併用し可視光カメラを運用するため、(1) 望遠鏡フランジとSIRIUSの間の空間 (高さ方向12cm) に設置可能であること、(2) SIRIUSと同程度の視野とピクセルスケールを実現する光学系であること、(3) 光学収差による像の乱れを最小限に抑え、望遠鏡の典型的なシーイング (1.5秒角) より良い結像性能を達成することが可視光カメラ設計上の条件となる。 研究計画時から2021年度まで、イメージセンサーとしてSIRIUSと同程度の視野を得ることができるオン・セミコンダクター社製のKAF-1001の使用を決定し、光学デザインを行い、シミレーションにより光学イメージがIRSFの典型的なシーイングサイズ以下になることを確認、開発を進めてきた。このような中で、2022年にKAF-1001より量子効率に優れた (約60 % → 約90 % @ 650 nm) のイメージセンサー (浜松ホトニクス製株式会社S12071) が見つかった。イメージセンサーを変更することで大きく感度が向上するため、S12071にイメージセンサーを変更した。新しいイメージセンサーを用いることで、設計変更が必要となり、カメラへの組み込み、実験室での総合試験が遅れている。組み立てとカメラ性能評価を2023年度に行い、2024年度にIRSF望遠鏡への設置、試験観測を行う予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021
All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 007 Issue: 5 Pages: 1-25
10.1093/ptep/ptab007