Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、銀河系内超新星からの重力波観測によって超新星親星の内部構造を探るという目的を、以下の2つの段階に分けて達成する。(1)計算効率の極めて良い IDSA と呼ばれる近似法を用いて、幅広い質量域と初期回転速度を網羅する超新星親星の重力崩壊シミュレーションを行い、バウンス後約 0.5 秒程度の重力波シグナルを計算する。(2)(1)で得た重力波データを用い、現行の重力波検出器で期待される観測量から親星の内部構造にどの程度制限を課すことができるかを見積もる。計算に使用するコードの開発はほぼ完了しているので、初年度から生産的な計算に取り組むことが可能である。
コンパクト連星合体からの重力波検出によって重力波天文学が幕を開けたことを受け、次のターゲットとなる重力崩壊型超新星爆発からの重力波放射を数値シミュレーションによって調べた。超新星起源の重力波はコンパクト連星合体の場合と比較して弱く検出は困難であるが、天の川銀河系内のイベントであれば観測可能であると考えられる。本研究では幅広い親星モデルに対して空間3次元での重力崩壊計算を実行し、現実的な超新星モデルに基づく重力波テンプレートの作成を目指した。最初の段階として、最もよく観測されたSN1987Aの最新の連星親星モデルに対して重力崩壊計算を実行し、得られた流体運動データをもとに重力波シグナルの算出と検出解析をおこなった。重力波形が衝撃波発生直後の即時対流や、それに続く非線形運動と衝撃波の非対称な膨張に対応することを確認し、さらに周波数分解してfモードやgモードに対応する特徴があることを発見した。重力波スペクトルと検出器の感度曲線との比較から、銀河中心に相当する10キロパーセク程度の距離であれば、100-200Hz程度の低周波領域に現れる、原始中性子星内部の対流に起因すると思われる運動と関連した重力波も検出可能であることを示した。次に、主系列星当時の質量が太陽の9倍から25倍である単独親星モデルに対して同様の重力崩壊計算と重力波解析を実行した。得られた重力波信号を比較し、親星構造の違いによって爆発時に放出する重力波に大きな違いが現れることを発見した。特に、重い星では激しい質量降着によって強い重力波放出が見られる傾向にあった。親星依存性のさらなる詳細な解析によって、超新星重力波の検出から超新星爆発の物理に迫ることができると期待している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (13 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results, Invited: 1 results)
EPJ Web of Conferences
Volume: 260 Pages: 11020-11020
10.1051/epjconf/202226011020
Journal of Physics: Conference Series
Volume: 2156 Issue: 1 Pages: 012232-012232
10.1088/1742-6596/2156/1/012232