Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
2017年に初めて重力波によって観測された連星中性子星合体は、同時にガンマ線を放っていたことが明らかになっている。そのガンマ線の起源は解明されていないが、合体の際に放出された物質中を衝撃波が突き抜けることによって生じている可能性が示唆されている。本研究は、その詳細を数値計算によって明らかにすること目的としている。これにより、2017年に観測されたガンマ線の起源を確立するとともに、今後増加すると予想される連星中性子星合体に伴うガンマ線観測と直接比較が可能となる理論的基盤を構築する。
連星中性子連星合体に伴い放出される物質(エジェクタ)の内部は、中性子過剰であるためr過程が進行し重元素で満たされている。そのエジェクタに、後に駆動される相対論的ジェットが衝突し突き抜けることによって、連星中性子星合体における最初期の電磁波放射が発生すると考えられている。今年度は、(1)「相対論的ジェット」、および(2)「エジェクタ内の衝撃波」に関する研究を行った。(1)に関しては、大局的な相対論的流体シミュレーションと輻射輸送計算を行うことによって、ジェットとエジェクタの相互作用のダイナミクスを明らかにするとともに、発生する電磁波放射の性質を精査した。その結果、ジェットは降着トーラスから放出されるエジェクタ物質との衝突によって細く絞られるとともに、そのダイナミクスに短時間変動性が生じることが確認された。それに伴い電磁波放射も強い時間変動を示し、観測されているガンマ線バーストの時間変動の一因となっている可能性が示唆された。さらに、通常のショートガンマ線バーストが示すスペクトルと明るさの相関関係も、本計算によって自然に再現された。(2)に関しては、r過程元素に満たされているエジェクタ内部に発生する衝撃波の、局所的な第一原理計算を行った。その結果、衝撃波が光速の約50%以下の伝搬速度を持っている場合、エジェクタ内で発生する衝撃波の温度は、通常の電子・陽子プラズマ内で発生す衝撃波に比べて1桁ほど低いことが明らかになった。伝搬速度が光速度の約60%を超えると電子・陽電子生成の効果が重要になり、電子・陽子プラズマの場合と同様に、速度によらず温度が100keV程度になることが明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 Other
All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 2 results)
The Astrophysical Journal
Volume: 924 Issue: 1 Pages: 40-40
10.3847/1538-4357/ac2f43
Volume: 918 Issue: 2 Pages: 59-59
10.3847/1538-4357/ac0cf9
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
Volume: 499 Issue: 4 Pages: 4961-4971
10.1093/mnras/staa3125