Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
これまでに実施してきたニュージーランド・マウントジョン天文台の1.8m MOA-II望遠鏡および61cm B&C望遠鏡による重力波天体の光学的追観測を引き続き行う。さらに、南アフリカ共和国・サザーランド観測所に建設中の 1.8m PRIME近赤外線望遠鏡を用いて、新たに重力波天体の観測を開始する。南半球の経度の異なる2地点にある3台の望遠鏡を使用すること、可視光から近赤外線にかけて最大10個のバンドパスフィルターが使えることにより、キロノバ初期の赤化現象を詳細に捉える。これらの多波長電磁波観測の結果と、重力波観測の結果および理論研究と協力して、高密度天体合体の物理プロセスの解明を目指す。
本研究では、ニュージーランドのB&C望遠鏡、MOA-II望遠鏡の観測・解析システムのさらなる改良に加え、南アフリカ共和国・サザーランド観測所にて建設中のPRIME望遠鏡による重力波観測の体制を整える。日本の天文コミュニティのアクセスが難しい南天で発生する重力波イベントを異なる経度から広くカバーし、可視光から近赤外線の波長帯において多波長観測を実施する。COVID-19の影響によりPRIME望遠鏡建設は当初の予定より大幅に遅れたが、22年7月に望遠鏡建設を開始し、試験カメラでの光学調整を実施し、望遠鏡建設を22年8月に完了させた。また、22年10月には、NASAで製作された赤外線カメラPRIME-Camのインストールを実施し、インストール翌日にガンマ線バーストGRB221009Aの残光を観測し、初期解析結果をGCNに投稿した(GCN32654)。一方で、予期していなかったカメラ窓の結露やカメラ内の熱輻射といったハードウェアの問題が発生したが、23年2月のメンテナンス作業によりこれらの問題を解決し、当初予定していた限界等級に近い性能を発揮する望遠鏡システムを22年度内に構築することができた。また、画像処理パイプラインを構築し、重力波イベント電磁波対応天体のサーベイがPRIME望遠鏡を用いて可能となった。ただし、22年度末の時点で、赤外線検出器の半分が機能しないが、これは23年7月までに修復する予定である。B&C望遠鏡は、現地天文台の都合により光学系が変わり、従来使っていた3色可視カメラが使えなくなった。現在、近赤外線と可視光が同時に撮れるカメラ製作を検討中である。一方、同天文台にあるMOA-II望遠鏡は、引き続き運用中である。画像解析の安定化・高速化に関して、課題はあるものの、当初の目的であった南天における重力波対応天体の可視光-近赤外線による観測体制は整った。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022
All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)