Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
糖尿病や認知症は、消化管内に存在する腸内細菌の種類や腸内細菌代謝産物の変化により発症する可能性が報告されている。しかし、腸内細菌代謝産物の変化がどのように糖尿病や認知症発症に関与しているのかは、不明である。そこで本研究では、腸内細菌代謝産物を消化管に存在する内分泌細胞や個体の小腸や大腸に投与し、消化管ホルモン分泌や迷走神経への影響を解析する。それにより、腸内細菌代謝産物が生体の代謝および認知機能を制御する可能性の検証を行う。
消化管管腔内には、アミノ酸や脂肪酸、糖質などの栄養素が存在する。小腸上皮内に存在する小腸内分泌細胞は、管腔内の栄養素を受容して、グルカゴン様ペプチド-1(glucagon like peptide-1: GLP-1)を分泌する。昨年度までの研究において、30種類の腸内細菌代謝物を小腸内分泌細胞へ投与したところ、30種類のうち11種類の代謝物によってGLP-1の分泌が増強された。中でも、L-フェニルアラニンの投与によってGLP-1の分泌が強力に促進されることが分かった。しかしながら、小腸内分泌細胞におけるL-フェニルアラニン受容体と細胞内シグナル伝達経路については、不明であった。そこで細胞内Ca2+およびcAMPの濃度測定を可能にした蛍光タンパク質センサーを小腸内分泌細胞株に遺伝子導入し、影響を受ける細胞内情報伝達経路の同定を試みた。その結果、小腸内分泌細胞に発現しているGqタンパク質共役型GPR142がL-フェニルアラニンを受容することで、細胞内Ca2+濃度上昇が起こることが分かった。また、Na+依存性アミノ酸トランスポーターを介してL-フェニルアラニンは細胞内に取り込まれ、膜の脱分極を介して、細胞内Ca2+濃度上昇を引き起こす可能性も考えられた。小腸内分泌細胞にどのような機構で糖質、特にグルコースが細胞内に取り込まれるのか不明である。そこで、細胞内のグルコース動態を可視化解析するための赤色蛍光グルコースセンサーの開発にも成功した。小腸内分泌細胞に人工甘味料を投与するとGLP-1分泌異常が起こることが報告されていたが、解析の結果グルコース取り込み動態だけでなく、細胞内Ca2+やcAMP動態へも悪影響を与えることが分かった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results) Book (1 results)
Cell Chemical Biology
Volume: 29 Issue: 1 Pages: 98-108.e4
10.1016/j.chembiol.2021.06.002
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 588 Pages: 118-124
10.1016/j.bbrc.2021.12.043
Scientific Reports
Volume: 10 Issue: 1 Pages: 1-11
10.1038/s41598-020-76440-4