Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
外来生物であるオオヒキガエルは生態系に甚大な被害をもたらす脅威となっているが、その駆除法は確立されていない。興味深いことに、オオヒキガエルのオタマジャクシは、彼らが身を守るための防御毒ブファジエノリド(強心ステロイド)に強く誘引されることが報告されている。本研究では、オオヒキガエルの誘引現象の理解と駆除を最終目的として、ブファジエノリド群の合成、および誘引活性と毒性評価を指標とする構造活性相関研究について検討する。これにより、オオヒキガエルの誘引機構の分子レベルでの理解とともに、新たな切り口である「低分子化合物を使った生物種特異的な外来生物の駆除法開発」を目指す学際的な研究を推進する。
本研究では、オオヒキガエルの誘引現象の理解と駆除を最終目的として、i) ブファジエノリド群の合成、およびii) 誘引活性と毒性評価を指標とする構造活性相関研究、という2点について検討する。これにより、誘引活性の発現部位の特定や毒性との関係の解明とともに、環境負荷が小さく、駆除に利用可能な構造単純化アナログ(非天然型アナログ)の創出を目指す。本年度は、1) 強心ステロイド合成の鍵中間体の構造修飾、2) 構造活性相関のためのアナログの合成、および3) 外来生物への誘引現象を引き起こすエストロゲン様天然物の合成を検討した。1) 強心ステロイド合成の鍵中間体の構造修飾: 既に我々は、強心ステロイドの天然型・非天然型アナログを自在合成する目的で、これまでに鍵中間体の合成法を確立している(Org. Lett. 2019, 21, 7410; J. Org. Chem. 2021, 86, 3605)。今回、1 g程度合成した鍵中間体を使って構造修飾を検討した。6位水酸基を利用して、5位の3級水酸基導入の足掛かりとなるアルケンを位置選択的に導入できた。現在、5位と11位への水酸基の導入と、17位に置換する2-ピロンの導入の検討を行っている。2) 構造活性相関のためのアナログの合成:強心ステロイド系の誘引物質の構造活性相関を指向し、これまでのエストロゲン様中間体を利用して、19-ノル型の強心ステロイドの合成法を確立した。ヨウ化物中間体からブファジエノリド型アナログの合成を検討中である。3) 外来生物への誘引現象を引き起こすエストロゲン様天然物の合成:侵略的外来生物であるウミヤツメが産生する誘引物質の誘引機構の解明に先立ち、構造活性相関の一環として14β体および14α体の合成を検討した。脱保護によって14β体を得ることができ、現在、天然物である14α体の合成を検討している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 5 results) Presentation (20 results) (of which Invited: 2 results)
Tetrahedron Lett.
Volume: 90 Pages: 153608-153608
10.1016/j.tetlet.2021.153608
Org. Lett.
Volume: 23 Issue: 3 Pages: 989-994
10.1021/acs.orglett.0c04198
J. Org. Chem.
Volume: 86 Issue: 4 Pages: 3605-3614
10.1021/acs.joc.0c02966
Volume: 85 Issue: 11 Pages: 7534-7542
10.1021/acs.joc.0c00643
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 59 Issue: 41 Pages: 17996-18002
10.1002/anie.202007280
120007160289