Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
トマトの立枯病を引き起こす植物病原菌の中には、水酸化脂肪酸とよばれる脂質を蓄積するものがいる。これらの脂肪酸群が植物への感染機構と関係があるかどうか不明であるが、植物寄生性とこれら脂肪酸群の蓄積能との関係は大変興味深い。そこで、本研究では、植物病原菌がつくるこれら脂肪酸群の植物寄生への影響を評価することとした。
自然界から廃グリセロールを利用可能な菌のスクリーニングを行った結果、脂肪酸二次代謝産物(10-ヒドロキシ脂肪酸と10-オキソ脂肪酸)を著量蓄積する糸状菌の単離に成功した。同定の結果、フザリウム属糸状菌であることがわかった。いくつかのフザリウム属糸状菌の脂肪酸二次代謝産物の生産性を評価したところ、生産量の差はあるもののこれら脂肪酸二次代謝産物を生成することがわかった。単離したフザリウム属糸状菌がもつ脂肪酸水和酵素遺伝子を大腸菌で発現させ機能性を評価した。オレイン酸を最も効率よく対応する10-ヒドロキシ脂肪酸へ変換することがわかった。また、リノール酸やリノレン酸、パルミトオレイン酸にも水和活性を有することが分かった。最適温度や最適pHを調べてところ、これまで報告されているバクテリア由来のオレイン酸水和酵素とやや異なることもわかった。また、単離したフザリウム属糸状菌には2つの脂肪酸水和酵素遺伝子がゲノム上に存在するものの、一方は通常培養で転写されていない可能性が示唆された。単離したフザリウム糸状菌の遺伝子組換え系の開発も行った。糸状菌で用いられる遺伝子組換え系をいくつか試した結果、パーティクルガン法による遺伝子組換え系が有効であることがわかった。フザリウム属糸状菌は胞子の形成と回収が容易であること、胞子の前処理が必要なく、金粒子やタングステン粒子にコーティングしたDNAを胞子細胞内に導入することができる点がメリットと考えられた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)
Biocatalysis and Agricultural Biotechnology
Volume: 39 Pages: 102286-102286
10.1016/j.bcab.2022.102286
Bioresource Technology Reports
Volume: 16 Pages: 100861-100861
10.1016/j.biteb.2021.100861