Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生体機能発現に関わる化学シグナル伝達現象においては、化合物が受容体タンパク質に結合し、受容体の構造を変化させることで、下流にシグナル伝播することが多いが、受容体タンパク質の構造が変化するメカニズムについては未解明な点も多い。本研究では、微細な構造変化を検知する能力が高いNMR法を活用し、受容体タンパク質の構造変化が誘起されるメカニズムの解明を目指す。
ラット由来グルタミン酸受容体AMPARのリガンド結合ドメイン(LBD)を研究対象とし、アロステリック調節薬の開発を進めるうえで重要となる分子内構造ネットワークを解明する研究を行った。具体的には、保存的変異が引き起こすLBD に誘起される微小な摂動を、高感度なメチル観測NMR法により検出することで、ネットワーク構造を解明する。昨年度までに、各保存的変異導入による化学シフト摂動を受ける領域の広がりに差が見られたことから、想定しているような構造ネットワークの存在がNMR法により検出できる可能性が示されていた。今年度は、さらに取得した変異体の化学シフト変化データを集計し、相関解析・ネットワーク解析を実施した。化学シフト変化値から算出された順位相関係数を用いてヒートマップを作成したところ、lobe1と呼ばれる領域に比較し、lobe2は、残基同士の相関が強いことが明らかとなった。さらにInfomap法によるコミュニティ抽出を行ったところ、7つのコミュニティが検出され、特にlobe2については、lobe1とlobe2を連結するヒンジ領域も含む、巨大な一つの構造コミュニティを形成していることが明らかとなった。これまでの我々の研究結果から、LBDによるリガンド認識およびその活性調節には、ヒンジ領域を介したlobeの開閉による構造平衡が関与していることが明らかとなっている。CTZなどのアロステリック調節薬は、ヒンジ領域付近に作用することが知られており、ヒンジ領域からlobe2に至る強固なネットワーク構造を介して、lobe開閉平衡を偏重させ、リガンド結合能を高めることに寄与していると考えられた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Biomolecular NMR
Volume: 74 Issue: 10-11 Pages: 501-508
10.1007/s10858-020-00314-0