Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
計算科学の方法を用いて,化合物の脂質膜への結合・透過・離脱能を高精度に予測する手法を開発する.1. 脂質の疎水鎖の長さや不飽和度を変更した脂質膜に標的化合物を挿入した分子動力学計算を行い,膜内での分子の動的構造や相互作用特性の詳細な解析を行う.2.自由エネルギー計算から,化合物の膜への会合・透過・離脱の起こりやすさを定量的に評価する計算技術を確立する.3.脂質や化合物の分子構成変化に対する膜への結合能を比較・評価する.1-3の課題研究によって得られた計算データを集積・解析し,新規の化合物開発のための分子設計指針を与える.
近年,化合物やペプチドを含む生体分子の膜会合の分子メカニズムの理解には,化合物やペプチドだけではなく,それを取り囲む脂質膜も含めた動的構造や相互作用特性の理解が重要であるとの研究が多数報告され,多くの注目を集めている.抗真菌活性を有するヘロナミド類は飽和型の脂質膜にはタイトに結合する一方で,不飽和型脂質膜には弱く結合することが報告されている.このようなヘロナミドの脂質膜への結合特性の違いは,ヘロナミドと脂質膜内における結合構造や相互作用特性の違いによるものと考えられる.このような分子会合の膜特異性の理解には会合分子と脂質膜の動的構造や相互作用特性の評価が課題となるが,添加分子を含んだ混合脂質膜は実験観測の難しさのために,これら特性は未だ明らかではなく,分子シミュレーションによる解析が望まれている.本研究では、実験により合成・評価されているヘロナミド類の脂質膜における分子動力学(MD)シミュレーションを実施し、ヘロナミド類の膜内結合特性を具体的に明らかにする。各々の化合物の膜内における結合位置や分子配向の違いを詳細に解析し、ヘロナミドの膜内における構造や凝集特性の違いについて議論した。自由エネルギー値の比較の結果,膜からの離脱のエネルギー障壁では、heronamide Aの弱い膜結合特性がPMF計算より示された。これらは生物活性の評価実験と対応する結果であり、シミュレーションやPMF計算の正当性を示す結果である。さらに本研究では、ヘロナミドCの構造異性体、コレステロールやエゴステロールを20%濃度におけるMD計算も実施した。各々の系における膜内の構造や安定性に関する解析をし、それぞれヘロナミドの分子構造の違いに起因する、膜内構造や安定性の違いが解析計算により明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Molecular Simulation
Volume: 48 Issue: 6 Pages: 477-483
10.1080/08927022.2022.2025798
The Journal of Organic Chemistry
Volume: 86 Issue: 23 Pages: 16249-16258
10.1021/acs.joc.1c01761
Scientific Reports
Volume: 11 Issue: 1 Pages: 13612-13612
10.1038/s41598-021-93067-1