Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
アルカンの脱水素反応はバルク及びファインケミカル合成において極めて重要である。固体触媒を用いた、高温条件下での脱水素法がバルクケミカル合成に広く用いられているが、条件の過激さゆえに有機合成への適用は難しい。近年、均一系触媒による脱水素法も開発されつつあるが、汎用性の高い触媒系は未だ報告されていない。本研究では、アルカンのラジカル的活性化法に着目し、固体酸化物と有機ラジカルの表面ハイブリッド化による、酸素を酸化剤とした温和な条件下でのアルカン脱水素反応を実現する。
本研究では不均一系と均一系触媒のハイブリッド化による選択的脱水素・水素化反応の開発を行った。昨年度に続き、本年度もアルキルアレーンの空気を酸化剤とする選択的脱水素反応の開発を行った。昨年度は、N-oxylラジカルと金属酸化物のハイブリッド化による脱水素反応を主に検討したが、金属酸化物による反応の顕著な促進は見られなかった。そこで、本年度は安定N-oxylラジカルであるTEMPOのみを用いて、金属フリーな条件下でアルキルアレーンおよびシクロヘキセン類の脱水素反応を行い、反応機構および基質適用性を検討した。反応機構の検討から、TEMPOが水素原子移動触媒として働き、アルキルアレーンのベンジル位のC-H結合が活性化されることが明らかになった。これにより生成したベンジルラジカルがTEMPOにすばやくトラップされ、ラジカルと酸素との反応を抑制できたと考えられる。酸化反応において、TEMPOはほとんどの場合ヒドリド移動触媒として働いており、水素原子移動触媒として働くケースはレアである。また、金属フリーな条件下で合成化学的に重要なアルカンの触媒的脱水素反応が達成できた点は特筆に値する。また、本年度は前年度に続き、不均一系と均一系触媒の概念のハイブリッド化によるC-O結合の加水素分解反応についても検討を行った。前年度にA01班の宍戸教授との共同研究で得られた知見をもとに、アルコールおよびエーテルの常圧水素下での加水素分解反応を行った。上記研究に関して現在データをまとめて論文発表を準備している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Catalysis
Volume: 4 Issue: 4 Pages: 312-321
10.1038/s41929-021-00598-x
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nozakilab/index.html