Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
ハイブリッド触媒反応において、触媒が適切に機能するためには、添加剤や溶媒などの反応環境も重要となる。反応環境により反応性が大きく変化するハイブリッド触媒反応が複数報告されているが、その機構はよく分かっていないものが多い。そこで本研究課題では、これまで我々が凝縮系の化学反応の機構解明に取り組んできた経験や知見を活かし、反応環境により反応性が大きく変化するハイブリッド触媒反応の分子論的機構を理論計算により明らかにすることを目的とする。
本研究の目的は、量子化学計算などの理論計算手法を用いて、反応環境により反応性が大きく変化するハイブリッド触媒反応の分子論的機構を明らかにすることである。今年度は、金井 求 教授(東京大)のグループが開発したハイブリッド触媒反応の解析を行った。この反応は、光触媒と不斉クロム触媒の存在下に可視光を照射することにより、単純アルケンとアルデヒドを反応させ、キラルアルコールへと変換する。この反応は、添加剤の影響を大きく受け、Mg(ClO4)2 の存在下では収率と鏡像体過剰率が大幅に向上するが、その詳細は不明である。この反応を量子化学計算により解析したところ、立体選択性を決定する2つの遷移状態の自由エネルギーが非常に近接していることが明らかになった。また、もともとの不斉クロム触媒に配位していたCl-イオンがMg(ClO4)2 の存在下ではClO4-イオンと入れ替わることも示唆された。しかし、得られた計算結果が用いる汎関数や溶媒モデルなどの計算手法に依存して安定な遷移状態が入れ替わるため、引き続き詳細な解析を進める予定である。また、林雄二郎教授(東北大)と山中正浩教授(立教大)と共同で、水の添加量により立体選択性が反転する不斉マイケル反応の解析も引き続き行った。反応物から生成物まで一連の反応経路を求め、溶媒の極性によって律速段階となる遷移状態が変化することが明らかになった。実験結果と対応する計算結果が得られており、引き続き詳細な解析を進める予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2021 2020
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)
Heterocycles
Volume: 103