Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
配偶相手を選ぶ「好み」の分化は、生物が種分化する過程で重要なステップである。一方、ひとつの種の中でも、個体によって好みはばらつく。このような種内レベルのばらつきから、どのように好みが種間で分化するかは、生物の進化を理解する上で重要な命題である。配偶相手に対する好みは、脳内の神経ネットワークに規定されている。動物の神経ネットワークは経験やゲノム変異によって揺らぎ、好みのばらつきを生む。では、この揺らぎからどのように種間の分化が生じるのだろうか?また揺らぎが分化に果たす役割はあるのだろうか?本研究では、配偶相手への好みの異なる2種のショウジョウバエを用いてこの問いに答える。
本研究は、神経接続の進化的保存性と揺らぎやすさの相関を検証するために、種間で異なるフェロモン選好性を示すキイロショウジョウバエ(以下、キイロ)とオナジショウジョウバエ(以下、オナジ)を対象として、そのフェロモン選好性の進化の神経機構を解明する。前年度までの公募研究において、私たちはオナジと類似したフェロモン選好性を示すF1雑種に置いて、フェロモン選好性を司る神経回路の機能を種間比較し、F1雑種では求愛に関する機能が正から負へ逆転していること、さらにF1雑種ではほとんどの神経接続が保存されていながら、1箇所の接続のみが失われていることが、GFP再構成法を用いた比較解析を用いて示した。これは、この神経接続の進化的保存性が低いことを示唆している。そこで本年度は、この結果がオナジの純系にも当てはまるかを検証するために、該当ニューロン群においてGFP構成法を用いる遺伝学的ツールを導入することを試みた。キイロにおいて該当ニューロンを標識することが知られるゲノム領域と相同な位置にattP配列を導入した結果、オナジにおいても該当ニューロンが正しく標識されることがわかった。そこで次に、このattP配列にphiC31システムを用いてLexA配列の導入を試みた。LexA配列を含むノックインベクターとphiC31インテグラーゼmRNAの胚への導入を約200胚に2回に渡って行ったが、これまで導入された系統は得られていない。phiC31インテグラーゼの発現が弱い可能性を考え、現在phiC31を卵巣特異的に発現させる系統を作成中である。この系統が完成したら、再度LexA配列の導入を行い、Lex系統が得られたら、神経接続の進化的保存性の検証を進める。また、今回進化的保存性が低いことが示唆された神経接続に関して、キイロに経験的摂動を与えた際の揺らぎを定量し、進化的保存性と揺らぎやすさの相関を検証する。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fly
Volume: 16 Issue: 1 Pages: 207-220
10.1080/19336934.2022.2066953