細胞ターンオーバーを介した表現型制約とその分子基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Evolutionary theory for constrained and directional diversities |
Project/Area Number |
20H04866
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大澤 志津江 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80515065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 細胞ターンオーバー / 表現型制約 / ショウジョウバエ翅原基 / ショウジョウバエ |
Outline of Research at the Start |
我々は最近、幼虫期のショウジョウバエが種々の内的・外的撹乱により発生遅延を起こした際に、その遅延を補正する細胞集団挙動「細胞ターンオーバー」が翅原基で誘発されることを見いだした。興味深いことに、この細胞ターンオーバーを遺伝学的に抑制すると、種々の表現型が成虫翅に出現する。このことは、細胞ターンオーバー機構が表現型を制約する役割を担う可能性を示唆している。本研究では、表現型制約を行うこの未知の細胞集団挙動の分子基盤とその役割を明らかにする。それにより、「個体の成長遅延に呼応した細胞集団挙動の局所的変化」という、表現型制約を担う新たな発生ロバストネス原理の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物の個体発生は、時間軸に沿った精密かつ計画的な形作りのプロセスである。種々の内的・外的撹乱により、個体発生に遅れが生じた際、その遅れを補正して正確な組織形成を実現するロバストな仕組みが存在すると考えられるが、その実体は不明である。我々は、幼虫期に顕著な発生遅延を示すショウジョウバエ<i>Minute</i>変異体(※リボソームタンパク質遺伝子の機能欠損変異をヘテロに持つ一連の変異体の総称)を起点とした解析を行った結果、幼虫期に発生遅延が起こると、その遅延を補正する「細胞ターンオーバー(細胞死と細胞増殖による細胞の入れ替え)」が翅原基で誘発されること、および、この細胞ターンオーバーが進化的に保存されたモルフォゲンWinglessの発現上昇により増幅されることを明らかにした。さらに興味深いことに、この細胞ターンオーバーを遺伝学的に抑制すると、翅脈のパターン異常や形態異常等の種々の表現型が成虫翅に出現することが分かった。これらの事実は、個体の成長遅延を補正する細胞ターンオーバー機構の偶発的なエラーが多様な表現型を出現させ得る可能性を示唆している(#Akai, #*Ohsawa (# Equal contribution, *Co-corresponding author) et al, PLoS Genetics, 2021)。今後は、個体の発生時間軸の歪みが「細胞ターンオーバー」を翅原基に誘発する機構を明らかにし、さらにはその破綻により表現型の揺らぎが生じる仕組みを明らかにすることにより、細胞集団挙動という観点から、表現型の揺らぎや生物進化の方向性を理解する新しい研究戦略を構築することを目指す。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)