Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
私達が研究を行っているミトコンドリア-小胞体間のオルガネラ膜接触部位MAMの形成機構と役割の解明は、小胞体とミトコンドリアの効率の良い相互連携の仕組みが分子レベルで詳細に明らかになることが期待できるので、本領域の研究の一層の推進に貢献できると確信する。さらに最近、私達はミトコンドリアがMAMを介して小胞体ストレスセンサーであるIRE1aを調節して小胞体ストレスによる細胞死を抑制していることを報告した。今後、この分子メカニズムを詳細に解明することにより、オルガネラの連携ゾーンとしてのMAMの生理的重要性と神経変性疾患などの病態との関連も明らかになり、当該領域の研究の推進に大いに貢献できる。
ミトコンドリアの機能維持には、小胞体とミトコンドリアの接触部位(MERCS)を介した小胞体からのリン脂質および Ca2+の供給が重要である。ミトコンドリア外膜に局在する RMDN3(別名 PTPIP51)は小胞体膜上の VAPB と結合することでミトコンドリア-小胞体間を繋留し、MERCS 形成に寄与することが知られている。最近、RMDN3 はホスファチジン酸(PA)と結合し、PA 転移活性をもつことが報告された。PA はミトコンドリア内クリステ構造の形成に重要なカルジオリピンの合成に不可欠なリン脂質である。MERCS におけるユビキチンシグナルによる制御機構の解明を目的として、ミトコンドリアユビキチンリガーゼ MITOL の近傍タンパク質を APEX2 法によりスクリーニングした結果、MERCS 関連タンパク質を複数同定すると共に、新規結合候補として RMDN3 を同定した。そこで、MITOL との相互作用について免疫沈降法を用いて解析を行ったところ、MITOL は RMDN3 と結合し、リジン 63型のポリユビキチン鎖を RMDN3 の 89 番目のリジンに転移させることを明らかにした。加えて、MITOL による RMDN3 のユビキチン化は VAPB との結合ではなく、RMDN3 のPA結合活性を促進することを見出した(Ito et al. J. Biochem. 2022)。さらに、MITOL はカルジオリピンの分解を調節する MIGA1/2 を基質にすることがわかり、ミトコンドリアの脂質代謝の調節を介してミトコンドリアの品質管理に関与している可能性が示唆された。本研究成果は、MERCS おけるリン脂質輸送がユビキチンシグナルによって制御されることを示唆しており、オルガネラ間の脂質輸送の制御機構に新たな概念を提供するものである。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 3 results)
The Journal of Biochemistry
Volume: 171 Issue: 5 Pages: 529-541
10.1093/jb/mvab153
EMBO reports
Volume: 22 Issue: 3
10.15252/embr.201949097
Communications Biology
Volume: 4 Issue: 1 Pages: 192-192
10.1038/s42003-021-01720-2
Volume: 168 Issue: 3 Pages: 305-312
10.1093/jb/mvaa050
40022375443