Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
超高齢社会を迎えた日本にとり、健康寿命の延長は現代科学の解決すべき最重要課題の一つである。健康寿命に対する抜本的な対応には、老化制御機構の俯瞰的理解と、老化に伴う加齢性疾病や、臓器・組織の機能低下を予防する技術の開発が必要不可欠である。本研究では、包括的1細胞遺伝子発現解析技術を利用することで、老化細胞の蓄積によって生じる組織微小環境における慢性炎症場が個体老化・加齢性疾病発症に及ぼす影響を分子・細胞・個体の各レベルで統括的に明らかにし、21世紀の先進医療において重要課題の一つである老化・老年病の予防法の開発につながる事が期待される。
細胞老化は個体老化・加齢性疾病の発症・進展に深く関与することが知られている。本年度は、自然加齢に伴う生体内における細胞老化の細胞種の同定、遺伝子発現プロファイル、さらには老化誘導の要因を解明するために、世界で初めて老化細胞を個体で同定・単離・トレースを可能にした『p16-tdTomatoマウス』を用いて、自然加齢した『p16-tdTomatoマウス』を用いて、様々な臓器・組織における老化細胞の一細胞RNA-seq解析を行ったところ、自然加齢においても多様な細胞種が老化細胞になること、そして細胞種ごとに異なる特徴的な遺伝子発現プロファイルを示すことが明らかになった。これらの結果より、これまで考えられていた以上に生体内における老化細胞は多様性に富んでいるという新しい概念の構築に至った。一方、『p16-tdTomatoマウス』を用いた一細胞RNAseqやイメージング解析により生体内の老化細胞はT細胞によって免疫除去されていることも見出した。興味深いことに、加齢に伴って体内に蓄積してくる老化細胞の多くは免疫チェックポイント分子PD-L1を高発現しており、PD-L1を介したT細胞による免疫除去回避が加齢に伴う老化細胞の大きな要因の一つであることを明らかにした。もっとも重要なことに、癌治療にも使用されている抗PD1抗体をマウスに投与したところ、生体内の多くの老化細胞の蓄積が認められなくなり、老化症状の改善や非アルコール性脂肪肝炎などの加齢関連疾患に有効であることも分かった
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Autophagy
Volume: 11 Issue: 11 Pages: 1-18
10.1080/15548627.2021.1897961
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