ショウジョウバエモデルを用いた非感染性外因刺激による炎症誘導機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
20H04942
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
倉石 貴透 金沢大学, 薬学系, 准教授 (90613167)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 自然免疫 |
Outline of Research at the Start |
組織損傷などで無菌的に誘導される炎症は、慢性炎症や自己免疫疾患の引き金となるため医学的に重要であるが、その誘導機構はまだよくわかっていない。我々は、微弱な内臓損傷刺激を与えることで微生物感染に匹敵する炎症が誘導されることをショウジョウバエ幼虫で発見した。この炎症は無菌的な誘導であり、既知の自然免疫機構にほとんど依存しておらず、新規メカニズムによって惹起されていることを報告した。 そこで本研究では、申請者独自の幼虫モデルにおける無菌炎症惹起機構の詳細を解明することを目的として研究を行い、慢性炎症の最初のきっかけとなる無菌的自然免疫活性化メカニズムを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
炎症は、微生物によって惹起される感染性炎症と、微生物非依存の無菌的炎症の2種類に大別される。微生物感染によって誘導される炎症反応は、感染防御や損傷組織の修復・再生に必須の役割を果たす。一方で、無菌的炎症(無菌的な自然免疫活性化)を契機とする炎症の異常は、慢性炎症疾患や関節リウマチなどの自己免疫疾患の原因となる。 研究代表者は、ピンセットによる内臓損傷刺激が幼虫の自然免疫を強く活性化することを発見した。この自然免疫活性化は無菌的な誘導であり、既知の自然免疫機構に一部依存しているものの、その他の自然免疫経路には依存しておらず、新規メカニズムによって惹起されていることを報告した。さらに、感染非依存であることを示すため、世界に先駆けて「真に無菌のショウジョウバエ」を樹立して維持する方法を確立し、無菌的自然免疫であることを証明した。 引き続く研究により、半網羅的RNAiスクリーニングを実施してクロマチンリモデリング因子が炎症遺伝子の発現制御に必要であることことを見出した。そこで本研究では、研究代表者独自の幼虫モデルにおける無菌炎症惹起機構の詳細を解明することを目的として研究を行い、慢性炎症の最初のきっかけとなる無菌的自然免疫活性化メカニズムを明らかにすることを目指している。 本年度は、当該クロマチンリモデリング因子と既知自然免疫経路との遺伝学的相互作用を検討した。その結果、当該クロマチンリモデリング因子は、既知自然免疫経路および新規経路の両方で機能することが示唆され、無菌的自然免疫活性化に必須の役割を果たす重要な因子であることが考えられた。また、ショウジョウバエ幼虫での無菌的自然免疫活性化に関与する遺伝子を網羅的に同定するため、順遺伝学的スクリーニングを進め、候補因子をいくつか得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の中、実験を遂行することが困難な期間があり、維持できるショウジョウバエ系統を減らすなどの対応により、一部の予定を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ピンセット刺激時に当該クロマチンリモデリング因子がDrosomycinプロモーター領域に結合しているか検証するため、幼虫免疫組織(脂肪組織)を用いてクロ マチン免疫沈降を行う。具体的には、ピンセット刺激を与えた幼虫の脂肪組織を用いて抽出液を作成し、当該クロマチンリモデリング因子にFLAGタグを挿入した過剰発現系統を用いてChIP-qPCRを行う。また、当該クロマチンリモデリング因子複合体構成因子を網羅的に同定するため、共免疫沈降-質量分析(IP-MS)解析を行う。 Crispr/Cas9法による約3,000系統の遺伝学的スクリーニングを継続し、ピンセット刺激による抗菌ペプチドDrosomycinの発現誘導に関わる因子の同定を進める。また、本スクリーニングですでに見出しているzinc-finger型転写因子の機能解析を行う。具体的には、まず初めに、zinc-finger型転写因子の過剰発現系統を作出してレスキュー実験を行い、zinc-finger型転写因子がDrosomycinの発現に必要であることを確定させる。次に、内在性のzinc-finger型転写因子タンパク質に対するポリクローナル抗体を作出し、「つまむ刺激」依存の局在変化を免疫染色により検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)