Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
先進国では高齢化社会を迎え、脳卒中と認知症は高齢者における寝たきりの主な原因となっているが、どちらも十分な治療法が確立していない。最近になって脳卒中と認知症に脳組織が損傷した後に引き起こされる炎症が惹起され、遷延化し、収束に至るまでの一連の免疫メカニズムを解明しており、損傷した脳内では脳内炎症に伴って形成される炎症細胞社会が、神経変性を予防して修復を担当する細胞を生み出す土壌となっていることを見出している。本研究では炎症細胞から修復細胞が作り出されるメカニズムを解明して、脳卒中や認知症に対する治療剤開発につなげる。
脳梗塞における脳内では、広範かつ顕著な炎症細胞浸潤が認められ、病態の進展に伴って多種多様な役割を持つ脳細胞のサブセットが観察される。本研究では脳梗塞モデルマウスを用い、病態に伴って脳内に形成される炎症細胞社会を土壌として、修復細胞が出現する分子・細胞メカニズムを解明し、神経変性を予防できる画期的な治療剤開発を行う事を目指した。脳梗塞組織から全細胞RNA-seq解析を実施した結果、神経細胞における修復関連遺伝子の発現が顕著であることが判明した。これらの修復関連遺伝子には、神経組織の再構築、シナプスの修飾、再髄鞘化に関連した遺伝子群が濃縮されていた。これらの修復関連遺伝子の発現は、脳梗塞巣周囲から採取した神経細胞を用いたRNA-seq解析からも確認することができた。神経細胞を用いた一細胞RNA-seq解析の結果、得られた神経細胞サブセットの約半数で修復関連遺伝子群の発現が観察でき、特に神経栄養因子や神経保護的な因子を産生するサブセットを確認することができた。神経細胞サブセットには炎症性因子を産生するサブセットは観察されなかったため、脳梗塞後に構築される免疫細胞による炎症細胞社会の影響を受けて、神経細胞サブセットが構築されるものと考えられた。実際に、脳梗塞後の炎症が悪化する表現形を示すペプチジルアミノデイミナーゼの欠損マウスを用いると、脳梗塞周囲の神経細胞における修復関連遺伝子群の発現がほとんど観察されないことが判明した。以上のように、脳血管障害における炎症細胞社会を土台として修復細胞が出現するメカニズムを解明することができた。本成果に基づく治療剤開発については、他の研究計画によって成し遂げることができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 1 results) Presentation (12 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 8 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results) (of which Overseas: 1 results)
PLOS Biol
Volume: 19 Issue: 5 Pages: e3000939-e3000939
10.1371/journal.pbio.3000939
Science Immunology
Volume: 6 Issue: 64
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Int Immunol
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10.1093/intimm/dxaa027