Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
炎症性腸疾患(IBD)の発症メカニズムの解明を遅らせている主な原因の一つとして、「未病」を経て「慢性炎症」に至るまでの過程において、ヘルパーT細胞(Th)や制御性T細胞(Treg)の活性化や分化をin vivo, ex vivoの両方で経時的に捉えることができる強力な実験系が存在しないことが挙げられる。本研究は申請者が独自に構築した「新規Nr4a1レポーターマウス」を用いた解析により、この現状にブレイクスルーを与え、IBDの発症過程でThが勝った炎症細胞社会が形成される仕組みを解明し、ひいてはIBDの新規予防法・治療法の開発に手掛かりを与える。
1. Treg,Th1/17細胞への分化指向性を付与するTCRのトランスジェニックマウスを作製した:初年度の研究でTreg指向性TCR, Th1/17指向性TCRを1種類ずつ再現性を持って見出しており、特にTh1/17指向性TCRを発現するCD4+T細胞は単独で腸炎を惹起することを確認している。これらのTCRのT細胞特異的発現を導くにターゲティングベクターを用い、トランスジェニックマウスを作製した。これらのマウスは共にT細胞特異的に目的TCRを発現することを確認しており、さらに、これらのマウスから取得したナイーブT細胞をRag2欠損マウスに移入したところ、腸管でそれぞれTreg、Th1/17への著明な分化が忠実に示された。2. 腸炎発症過程でのイメージング実験を開始した:上記作製したTreg, Th1/17指向性TCR Tgマウスから取得したナイーブT細胞をRag2-/-マウスに移入し、腸炎の発症過程におけるTreg, Th1/17細胞の分化・活性化のin vivoイメージング実験を開始した。共に1種類ずつであるため、普遍性を議論できる段階ではないが、それぞれのTCRを発現する細胞は、互いに異なる部位での分化・活性化パターンを再現性を持って示しており、Treg細胞とTh1/17細胞が異なる部位で分化・活性化を遂げている可能性を示唆する結果が得られている。3. Treg,Th1/17分化指向性TCRの候補を新たに複数見出した:Treg,Th1/17分化指向性TCRを新たに同定することを目指し、scRNA-seq TCRレパトア解析を再度行った結果、Treg, Th1/17細胞への偏りを示したTCR配列が、それぞれ新たに5種類以上ずつ見出された。これらのTCRの発現コンストラクトの作製は完了しており、現在、これらのTCRを発現する細胞の解析を進めている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Book (1 results)
The Journal of Immunology
Volume: in press Issue: 9 Pages: 2122-2130
10.4049/jimmunol.2100808
Frontiers in Immunology
Volume: in press Pages: 866339-866339
10.3389/fimmu.2022.866339