Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
南大洋は、南極の気候および全球の過去と将来の気候変動をを理解する上で重要な地域であるが、ほとんどの気候モデルはこの地域の下層雲の雲量を過小評価しており、この地域の気候の再現と予測を困難にしている。本研究は、衛星観測とラージ・エディ・シミュレーションを用いて、南大洋の下層雲の形成プロセスの素過程を明らかにする。本研究は、気候モデルにおける南大洋の下層雲の表現を改良するのに必要な基礎的な情報を提供する。
南大洋は、過去と将来の気候変動を理解する上で重要な地域であるが、多くの気候モデルにおいてこの地域の下層雲が大きく過小評価されており、このことがモデルによる過去と将来の気候変動の再現にとって大きな障害となっている。本研究は、気候モデルにおけるこの地域の下層雲の表現の改良に資するように、衛星観測データとシミョレーションによって、この地域の下層雲の素過程を明らかにすることを目的とする。本研究実施期間の第一年度において、申請者は、様々な種類の衛星観測データおよび再解析データを取得し、雲が大気の環境に依存してどのように変化するかを解析するための手法の検討を行った。第二年度においては、当初目指していた解析を研究実施期間内に終了させることは難しいと判断し、予定を変更して、CloudSat衛星データを用いて、南大洋の浅い積雲の雲頂高度の分布を明らかにする研究を行った。船舶による観測の先行研究から、南大洋では浅い積雲が下層雲の雲量の大きな部分を占めていることが知られている。本研究の結果、浅い積雲が南大洋を含む中高緯度で卓越していることが衛星観測データから初めて明らかにされた。また、その季節変化を解析し、浅い積雲は主に冬期に卓越することがわかった。また、南緯60度以南では、逆に夏季に増加するという興味深い挙動をしていることがわかった。本研究により、南大洋の下層雲の重要な構成要素である浅い積雲の分布と季節変化が明らかとなった。当初予定していた雲と環境場との関係を明らかにする研究は途上にあり、また、シミュレーションを用いた研究には着手することができなかったが、引き続きこれらの研究を行っていくための環境を準備することができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。