Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
地球温暖化による南極氷床の融解は海面上昇に直結する.過去の気候変動に対する氷床の応答を地質・地形記録から理解できる可能性がある.しかし南極では,海面変動において氷床モデルの計算値と地質・地形記録との間に大きな食い違いがあり,それが年代測定の問題に起因すると考えられる.本課題では,南極の地質・地形に最適化した光ルミネッセンス年代測定法を開発・適用し,海面変動曲線を刷新することを目指す.
令和3年度は,前年度に引き続き南極の堆積物に最適な光ルミネッセンス(OSL)年代測定法の開発と,また選定された測定条件による年代決定を行った.前年度から引き続き行ったテストにより,石英OSLは信号感度が低く,さらに見た目の信号の大半は,石英粒子中に混入した長石から発生していることが明らかになり,年代測定には用いることができないことが再確認された.一方でドーズリカバリーテストにより,年代測定に使える可能性のある長石のOSL信号(IRSL信号,post-IR IRSL)について,堆積物の粒度(砂,シルト)と新旧(完新世ユニット,更新世ユニット)ごとに最適な測定温度条件を精査したところ,IRSL信号は完新世の砂のみに適用でき,post-IR IRSL信号は完新世の砂とシルトには低い測定温度,更新世の砂とシルトには高い測定温度が最適であることが明らかになった.最適な測定条件を用いて完新世と更新世の砂と泥に対してOSL測定を行い,別に求めた年間線量を用いて最終のOSL年代を求めた.まず完新世ユニットでは貝殻の放射性炭素年代と整合的な結果が得られた.一方,更新世ユニットでは,20万から26万年前の,海洋酸素同位体ステージ7に相当する年代が得られた.以上の結果は9月にオンラインで行われた16th International Luminescence and Electron Spin Resonance Dating conference (LED2021)でポスター発表を行い,さらに国際学術誌Quaternary Geochronologyに論文を投稿して受理された(受理日2022年4月3日).
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Quaternary Geochronology
Volume: in press Pages: 101298-101298
10.1016/j.quageo.2022.101298