Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究の概要は、脅威を同種他個体へ伝達することが言語の起源であったとの仮説を検証するものである。そのために、警戒音声が反射的に発せされるのか、危機的状況にある他個体の状況を勘案しながら(他者視点に立ちながら)発せられるかを検討する研究である。このことにより霊長類にとっての生得的な脅威(捕食者)であったヘビの情報を伝達することが、サルの音声コミュニケーションを進化させたとの仮説を検証する。
本研究は、マーモセットおよびその自閉症モデルが、他個体の脅威状況に合わせて警戒音声の発生頻度を変えるかを調べようとしたものである。野生のチンパンジーを対象としたプレイバック実験では、他個体の警戒音声を聞いた後にヘビのオモチャを見たときのほうが、それ以外の音声を聞いた後にヘビのオモチャを見たときよりも警戒音声の頻度が低く、ヘビに気づいていない個体へ高頻度で警戒音声を発した、すなわち、他個体の意図や視点を認識して、他個体の状態に合わせた行動を行ったと考えられる。本研究は、そのことを新世界ザルのマーモセットと、他個体への関心が弱いことが確かめられている自閉症モデルマーモセットで同様の検討をするものである。28個体に対して、1)他個体なし・ヘビあり、2)他個体なし・ヘビなし、3)非血縁個体あり・ヘビあり、4)血縁個体あり・ヘビありでテストを実施した。28個体に3種類のヘビ玩具を見せた結果、1度でも警戒音声を発したのはオス6個体、メス1個体であった。これらの7個体が発した警戒音発声回数は、1)他個体なし・ヘビあり<385回>、2)他個体なし・ヘビなし<38回>、3)非血縁個体あり・ヘビあり<310回>、4)血縁個体あり・ヘビあり<432回>であり、血縁個体がいる状況でヘビを見たときの発声回数がもっとも多かった。条件の主効果は有意であったが(F(3, 15) = 3.64, p < .05)、個別の条件間で有意な差は見られなかった。また、VPA4個体が、警戒音声を発しており、VPA個体のほうが他個体の脅威状況で警戒音声の発声数が少ないとの当初の予定とは異なる結果であった。おそらく、脅威に対する感受性が自閉症モデル動物のほうが高く、警戒音声を多く発したと考えられる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 2020 2019
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (12 results) Book (1 results)
子供の科学
Volume: 5月号 Pages: 44-44
NeuroReport
Volume: 31 Issue: 14 Pages: 1048-1053
10.1097/wnr.0000000000001516
Cognition and Emotion
Volume: 34 Issue: 3 Pages: 614-620
10.1080/02699931.2019.1657799