Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
言語の特徴の一つは複雑に階層化された文構造であり、我々はその構造を手がかりにして文に表現された意味や概念を理解し、他者との意図共有をはかっている。文構造の処理にはブローカ野が関与している。一方、これまでの予備実験において小脳が文構造の処理に関与する知見が得られている。小脳は学習に関わる脳部位である。そこで本研究では、熟練した文構造処理にはブローカ野と小脳の連携が重要であると考え、これを検証する。
本研究では、階層的文構造処理においてブローカ野と小脳が連携しているという仮説を提案し、磁気共鳴画像装置を用いた脳機能イメージング実験により提案仮説の検証を試みた。研究の初年度は日本語で書かれた短文を読んでいる時の脳活動を評価し、仮説通りにブローカ野と小脳Crus-Iが連携して活動していることを示した。小脳の代表的な機能として運動の制御と学習が知られている。小脳が運動だけでなく言語機能にも同様に関与しているなら、言語機能の制御(この場合は階層的文構造処理)だけでなく言語の学習にも関与しているはずである。本年度は学習におけるブローカ野と小脳の連携について検討を行った。なお、当初計画では外国語を題材にして実験を行う予定であったが、外国語の学習にはある程度の時間を要するために、数十分で学習可能な記号配列のパターンを題材にした。言語を構成する単語や文法は記号のパターンとみなすことができるので、言語機能に関与したブローカ野と小脳はパターンの学習にも関与していると予想される。実験では提示されたパターンに対応したボタンを素早く視覚運動系列学習課題を行い、その時の脳活動を磁気共鳴画像装置を用いて計測した。その結果、パターンの学習にブローカ野と小脳が関与していることを観察した。ブローカ野が文法の学習と処理に関与していることは従来から知られた知見であるが、小脳がそれらに関与しているというのは本研究で得られた知見である。小脳はヒトの進化の過程で比較的最近大きくなったことが知られている。そのため本研究で得られた知見は、言語機能をはじめヒトに特徴的な高次認知機能の進化的なメカニズムを理解する上で重要であると考える。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Cerebellum
Volume: - Issue: 4 Pages: 739-755
10.1007/s12311-022-01451-y
https://www.tokai.ac.jp/news/detail/post_409.html