Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
脊椎動物の視神経系の一部である網膜には、光受容細胞をはじめとする多種多様な神経細胞、グリア細胞が存在し、それらが相互作用しながら全体として視覚機能を担っている。網膜に作用する光刺激は体内に視覚情報を与えると同時にストレスでもある。本研究は、遺伝子変異ES細胞から試験管内で分化させた光受容細胞を利用し、光刺激に対する1次的反応(細胞や遺伝子)を特定することにより、光刺激に対する細胞の感受性や、器官が頑強性を保ち続けるメカニズムを明らかにしようというものである。
網膜色素変性症を引き起こす初期段階において発現する遺伝子を捕捉するために、網膜色素変性症の一原因遺伝子であるProminin-1(Prom1)変異マウスを用いた解析を行った。Prom1遺伝子変異の若齢マウスと野生型マウスを用いて網羅的遺伝子発現解析を行い、エンドセリン遺伝子を含む多数のシグナル遺伝子が異常惹起することを明らかにした。また、このシグナル因子は網膜内の視細胞に発現し、視細胞から網膜全体に浸潤して周辺部の細胞に影響を与えることを明らかにした。特に、グリア細胞はGFAP遺伝子を発現することによって異常活性化されるほか、血管内皮細胞はエンドセリンによって収縮し、網膜内細胞に栄養などを供給できない状態に陥ることが観察された。さらに、エンドセリン阻害剤であるBQ123/BQ788を投与することにより、このエンドセリンシグナルを遮断することができ、その結果グリア細胞の以上活性化、血管内皮の収縮を緩和できることが明らかになった。これと並行し、網膜の発生に必要な遺伝子であるRx転写因子にも着目した。Rx変異マウス幹細胞を作成し、これを分化させて網膜オルガノイドを作成したところ、Rx変異細胞は網膜遺伝子の発現が抑制され、網膜の周辺である大脳に分化する遺伝子が多数発現する表現型が観察される結果となった。この結果は、Rx遺伝子が大脳細胞から視神経系細胞に分岐する過程で必要な遺伝子であることを明らかにした点で重要である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 1 results)
Development Growth and Differentiation
Volume: 64 Issue: 6 Pages: 318-324
10.1111/dgd.12796
Dis Model Mech
Volume: 14 Issue: 11
10.1242/dmm.048962
120007185295