Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
幹細胞の小さな集合体が適切な力学特性を獲得し、臓器レベルの大きさに成長するためには、多種多様なダイバーシティーに富む細胞の中でも少数の細胞が組織メカニクスを感知・制御している可能性が考えられる。そこで本研究では臓器の大きさの制御を司ると考えられるMSC細胞を標的として、①YAPの活性化状態のリアルタイムイメージング、および、②組織レベルでの力学計測という2軸の特徴量の評価手法を確立する。さらに③オルガノイドまたはマウス・メダカ臓器内における時間・空間依存的な特徴量計測を通じて、小さな細胞集団(オルガノイド)がどのように大きく硬い臓器へと3次元立体構築するかという未知のメカニズムの解明をめざす。
生物は単細胞から細胞社会ダイバーシティー獲得の進化過程で個体サイズを拡大してきた。その過程に転写共役因子YAPが強く関わっていることが最近明らかになりつつある。しかし、現状のiPS細胞からの臓器作製では、幹細胞から分化した細胞は柔らかい組織のまま崩壊し、環境変化に耐え得る強靭な臓器構築までには至れていない。これまでに私たちは、体と臓器の扁平化を起こすhirameメダカ変異体の分離・解析から、その原因遺伝子YAPが、組織の3次元化と各々の組織の配置を統御して3次元臓器を構築する新規機構(YAP-メカノホメオスターシス)を見出した [Porazinski et al. Nature (2015), Asaoka and Furutani-Seiki Curr Opin Cell Biol (2017)]。しかし、YAPがどのように外部の力学特性を認識し、それを組織全体の力学特性へとフィードバックしているのかの詳細は不明である。そこで本研究では、臓器サイズの回復過程において生体で時空間的力学測定の行えるゼブラフィッシュ尾ヒレ再生系を用いて、YAP活性化状態のリアルタイムイメージングの手法の確立を試みた。さらに尾ヒレ再生過程において長期タイムラプスイメージングを行うための麻酔液還流システムを樹立し、ヒレ組織に磁性流体の油滴を注入し磁場をかけてその変形を計測することで、生体組織における力学特性(粘弾性)の実測に成功した。これに加え、ジーンガンを用いて磁性ビーズをゼブラフィッシュ成魚尾ヒレに導入する実験系を確立した。これらの計測手法の確立は、小さな細胞社会集団がどのように大きく強靭な臓器へと3次元立体構築するかという未知のメカニズムの解明につながる成果である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)
PLOS ONE
Volume: 17 Issue: 10 Pages: 0269077-0269077
10.1371/journal.pone.0269077