Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
左心室と大動脈、そして右心室と肺動脈の連結関係に異常が生じた場合は、複雑な心臓の先天性の奇形(先天性心疾患)を生じる。そのような患者は、医療の発展により現在は成人期に達することができるようになったが、加齢とともに多くが心不全に陥ることが明らかになってきた。予後の改善に、多くが不明の原因の理解と、修復手術の改良が必要である。胎児の心臓の将来の大動脈と肺動脈の幹の部分の複数種の細胞がお互いに作用し合い、正しい心室と大血管の間の連結が完成し、心室の機能も保たれると考えられるが、その相互作用のメカニズムは不明である。本研究では、そのメカニズムを解明し、医療に有益な知見へと繋げる研究を行う。
心室と大血管(大動脈と肺動脈)の連結関係に異常のある複雑な先天性心疾患の予後の改善には、多くが不明の分子病態の理解が必要である。胚の心臓心室からの出口にあたる流出路(将来の大動脈幹と肺動脈幹)は多様な細胞群から構成され、その細胞の機能と細胞間相互作用が心室大血管関係の形態形成に必要だと示唆されているが、各細胞の特質と細胞間相互作用を担うシグナルの本態は明らかではない。また、流出路の形態異常と直接関係がない心室心筋に、先天性の機能的異常を生じる可能性も否定できない。本研究計画では、これらの疑問に対し、大血管転位症を生じる転写因子Pitx2ΔASE/ΔASE変異マウスを用いて、心臓流出路に対するシングルセル解析を行い、その情報と発生過程の形態学的変化の情報を統合し、またPITX2の転写標的遺伝子をCut & Runアッセイにより同定することで上記の疑問点の解明を目指している。令和2年度はCOVID-19 pandemic下で研究活動が大きく制限を受けたため計画通りに実施できなかった要素項目が多く、必要な研究費を令和3年度に繰り越した。これまでに、流出路を構成する細胞(心筋・心内膜・神経堤細胞)を抗体で蛍光標識し、LUCID組織透明化処理後に光シート蛍光顕微鏡で画像を取得、野生型と変異マウス胚の心臓流出路の形態変化に対する3次元 (3D) 画像を作成し観察した。この過程で、従来よりも生物学者が使いやすいGUIベースの3D画像作成ソフトウエアを開発した(Takeshita, Yashiro et al. 未発表)。また、心臓流出路の形態形成過程にある胚のscRNA-seqデータの取得を完了し、現在はデータの解析中である(Sakaki, Yashiro et al. 未発表)。Cut & Runは、まだデータ取得の準備段階にあり、今後データを取得し解析を行う予定である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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bioRxiv
Volume: -
10.1101/2021.12.10.472183
小児科診療
Volume: 84 Pages: 1055-1062