Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
味覚嗜好性(味に対する好き嫌い)は、味覚の神経回路に起因する生得的なものである一方、生後の経験や学習に依存して動的に変化する。例えば、ある食物を摂取後、内臓不調を感じると、その食物を避けるようになる。このような味覚嫌悪学習は、有害な物質を何度も摂取することで生存が脅かされないようにするための機能であり、食物の好き嫌いを形成する神経機構のモデルと考えられているが、その神経機序はいまだに未解明のままである。本研究では、多領域・多細胞同時記録や光遺伝学を駆使して味覚嫌悪学習の神経基盤の全容解明を目指す。
味に対する好き嫌い(味覚嗜好性)は、味覚システムの既定された神経回路により生得的に決まる一方、生後の経験や学習に依存して動的に変化する。例えば、ある食物を摂取後、内臓不調により不快に感じると、その食物を忌避するようになる。このような学習は味覚嫌悪学習として知られるが、その神経基盤は明らかとなっていない。味覚嫌悪学習は味覚の情報と内臓の不快な情報が統合されて成立することが予想されるが、未だに基本的な味覚情報処理すら解明されていない。味覚情報処理を司る伝導路核の近傍には口腔内の体性感覚や内臓感覚を処理する神経細胞も存在しており、脳に電極を刺入し小規模に神経活動を記録する従来の電気生理学的計測手法ではこれらの細胞を分離することができず、味覚情報処理の基本原理の解明を阻んできた。この複雑な神経回路を有する味覚システムにおいて味覚応答性細胞が味覚経験に基づいてその性質を変化するメカニズムを解明するためには、舌由来の情報を受け取る味覚応答性細胞を同定し解析する必要がある。これを実現するために、申請者は舌の味細胞に光駆動性陽イオンチャネルであるチャネルロドプシンを発現させ、光遺伝学・電気生理学的手法を組み合わせた大規模神経活動記録により舌からの情報の流れを追うことで味覚伝導路に属する細胞を同定する手法の構築に取り組み、これに成功した。味覚伝導路に沿って情報処理が進むにつれて多様な味を表現できるようになるという味覚情報処理の基本原理を解明しつつある。本手法を駆使して味覚システムの情報処理を解明することで、味覚嫌悪学習の成立メカニズム解明へとつながることが期待される。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)
bioRxiv
Volume: -
10.1101/2022.03.31.485431
Neurobiology of Learning and Memory
Volume: 183 Pages: 107484-107484
10.1016/j.nlm.2021.107484